キミに危険な実験を実況してくれるお姉さん

@yumebon

第1話『デーモン・コア実験をキミに聞かせてくれるお姉さん』

「ふふっ、始めまして、私はキミにちょっとしたスリルを味わってもらえるような実験をASMRにするお姉さんよ?」


「え?そんな実験をして危険は無いのかって?ふふ、大丈夫、キミには絶対に危害は加えないから。なんてったってキミが聞いてるのは音声だけだからね?」


「まあ私はちょっと危険に巻き込まれちゃうかもだけど…実験には危険がつきもの、よね?うふふっ」


「ということで、早速実験を始めましょう?今回用意したのは…」


コトッ…(何かを置く音)


「じゃーん、小さい鉄の球体…キミはこれが何か分かるかしら?」


「これは…プルトニウム239とガリウムの合金…ルーファスっていう名前でも呼ばれていたわ」


「………そう、デーモン・コアよ!」


「言わずと知れた放射性物質ね、勿論これだけでも危険だけど…エネルギーを取り出すためにはこれだけじゃ不十分なの」


「そこで…連鎖反応、っていうのを引き起こす必要があるの、連鎖反応については…核分裂を自発的に増やしてあげる感じ、詳しくは調べてね?」


「そして、そのために使うのが…これ」


ゴトッ(少し大きめの物を置く音)


「半円形の金属が2つ…所謂中性子反射体ね、今回はベリリウムを使っているわ」


「この片方にデーモン・コアを乗せて…」


コトッ(金属の上に金属を優しく置く音)


「それから、もう片方で挟み込む…と言っても、ピッタリ挟み込んじゃったら臨界状態になっちゃって事故になっちゃうわ。お姉さんも1週間の命になっちゃうわね…?」


「そ・こ・で…これを使うの」


コトリ(プラスチックを置く音)


「そう、マイナスドライバーね。これを2つの金属の間に挟み込んで…こう、こんな感じで距離を調整してあげるの」


「これで連鎖反応を確かめるのよ。どう?スリリングだと思わない…?」


「…え?安全性があまりにも終わってる?まあそうね、確かに手元が少~し狂っただけでカチン、ピカーッ…ってなっちゃうわね」


「実際、この実験は『眠ったドラゴンの尾をくすぐる』ようなもの…って言われたこともあるし…この実験を試した研究者は臨界事故を起こして亡くなってしまっているわ…」


「…けど、だからこそスリリングで、面白いと思わない?」


「…え?思わないしお姉さんは頭がおかしいと思う?ふふっ、ありがと」


「頭がおかしいだなんて…お姉さんにとっては褒め言葉だわ」


「さて、それじゃあ…そろそろ実際に実験を始めていこうかしら?」


バチンッ!バチンッ!(何かのスイッチを入れる音)


「まずは測定機の電源を入れて…」


コト…(机の上に金属の塊を優しく置く音)


「次に土台になる方のベリリウムをセット」


カチ…カチ…(金属の上に金属を優しく接地させる音)


「それから上半分のベリリウムを接触させて…間にマイナスドライバーを挟み込む…」


ジジ…(測定機の針が動く音)


「ふふ…早速連鎖反応が始まったわ…ああ…このスリル…たまらないわね…♥」


ジジ…ジジジ…(測定機の針が動く音)


「お姉さんは今マイナスドライバーを回して動かしているわ…ほら…ベリリウムの塊同士が近づいて…連鎖反応が激しくなってる…!」


ジジジ…(測定機の針が動く音)


「…ああ、いけない、興奮してついくっつけそうになっちゃったわ…そんな事したら臨界事故が起こっちゃう…!」


ジ…(測定機の針が動く音)


「そんな時はこうやってちゃんと離してあげて…」


ジジ…(測定機の針が動く音)


「また近づける…♥」


ジジジ…(測定機の針が動く音)


「ほら…どんどん近づいてるわ…臨界事故起こっちゃう…起こっちゃうよ起こっちゃうよ…?」


ジ…(測定機の針が動く音)


「ふふっ、なんちゃって…どう?ハラハラするでしょ…?」


「…え?ハラハラし過ぎて心臓に悪い?…あ、もしかしてお姉さんの事心配してくれてるんだ~?ふふっ、キミってば良い子だね~?」


「でも大丈夫。お姉さんはこれぐらいの実験なら何回もやってきたんだから!だから安心して…ね?」


「ふふ、それじゃあそろそろ実験を再開しましょ?」


ジジ…(測定機の針が動く音)

キィ…(金属同士が擦れる音)


「ふふっ…今度はこうやって軸先だけじゃなくてドライバー自体を持ち上げてみたりして…」


ジジジ…(測定機の針が動く音)

キィ…(金属同士が擦れる音)


「そこから逆向きに持ち上げてみたり…?」


ジジジ…(測定機の針が動く音)


「うふふ…連鎖反応がどんどん起きてる…たまらないわぁ…♥」


ジジ…(測定機の針が動く音)


「けど…そろそろ腕が疲れてきちゃったわね…少し休憩しようかしら」


コト…(ドライバーを置く音)

ゴト…(何かを持ち上げる音)


「うふふ、実はさっきコーヒーを淹れておいたの。休憩にはつきものでしょ?キミには言ってなかったけど…実は私、美味しいコーヒーを淹れるのには自信があるのよ?」


「いつかキミにも飲ませてあげたいなぁ…なんて、ふふっ」


ズゥ…(コーヒーを飲む音)


「熱っ!」


ガシャン!(ガラスが割れる音)


「あ!いっけない!コーヒー溢しちゃった!早く拭くもの持ってこないと…」


ガタン(何かにぶつかる音)

カチャン…ゴトッ(金属同士がくっつき、床に何か者が落ちる音)

ジジジジジジジジジ…!(測定機の針が激しく動く音)

カッ!(何かが光る音)


「あっ、ヤバっ」


ガッ!ゴトッ…(何かを掴み地面に投げる音)


「……………ふぅ~~~~~~~~~~~」


「起こっちゃった、臨界事故♥」


「………な~んちゃって!ウソウソ!冗談よ!実は使ってたのはただの鉄の塊!だから放射性物質じゃないし、連鎖反応も起こってないし、臨界事故も起こってないわ?」


「だからお姉さんは無事!キミも安心して…ね?」


「…もう、そんな反応しないでよ!確かにお姉さんもちょっと脅かしちゃった所はあるけども…」


「けど、実験には危険がつきものだ…って、これでキミにも分かってくれたでしょ?」


「…ふふっ、なら良かった。キミも実験をする時には、環境に十分に注意して、事故が起こらないように最新の注意を払って行うのよ?」


「ということで今日のASMRはこれで終わりっ!」


「あ!最後に一つだけ!今回の実験は本当に、本っ当~に危険だから…絶対に真似しちゃ駄目よ?」


「お姉さんはちょっと鼻血が出てきちゃったからそろそろ切るわね!それじゃあ、次の実験でまた会いましょう?」


※このASMRはフィクションです

実際にはこんなに急に反応は出ません

が…デーモンコア実験は本当に危険なので良い子の皆は真似しないようにしましょう

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