檸檬わ〜るど。*そっと強く抱きしめて*
猫野 尻尾
第1話:まともな彼女募集。
残暑でじめじめしていた空気がカラッとした爽やかな涼気と入れ替わり
金木犀の甘い香りが乾いた心をなんとなく切なくさせるこの季節。
いったい俺はいつからまともに恋人と呼べる女性がいなんだろう?
金で繋がったGFはたくさんいるってのに・・・と彼はため息をついた。
彼の名前は「
父親が経営する大手商社に勤めている。
今は高級高層マンションに独り住い。
で陽介が普通の人とちょっと違うのは彼の家は大富豪・・・昔からの地主の
家で彼は大金持ちの御曹司・・・いわゆる富裕層。
金は自分が働いた給料の他に親からの援助で贅沢三昧。
友人はいる・・・金で繋がった友人たち・・・だから心を許せるやつはごくわずか。
言い換えれば陽介は金と引き換えに真実の愛を見失っていた。
女はみんな陽介の金目当なやつばかりが寄ってくる。
世の中に、まともな女はいないのか?って疑心暗鬼になってしまいそうな日々。
よくあるのは金持ちの息子は性格が横柄でわがままで人間失格みたいなやつが多い
傾向にあるようだが、でも陽介は金持ちの家に生まれたわりには性格は腐っては
いなかった。
甘やかされては育って来なかったことと、幼少より「合気道」の道場に通っていた
ことも陽介自身を正しく形成していたんだろう。
でも、今のままだと誰も信じられず歳を取るにつれ徐々に腐って行って
もおかしくはなかった。
だが、あるひとりの女子高生との出会いで陽介の運命は大きく変わって行く
ことになる。
金のしがらみじゃなく、純粋に真実の愛が欲しい。
自分のことを私利私欲なしで愛してくれる女性・・・そんな人いないかな。
で、陽介は、なにを思ってか求人広告を出すことにした。
ネットは利用したくなかったから、あえてオーソドックスな方法をとった。
《まともな彼女募集:許容範囲:20才から30才まで》って・・・。
で、下に《お付き合いしてくださる方、高額報酬・高額ボーナスあり》って
記載してもらった。
そんなこと書くと「まともな」って部分の意味ないじゃんって思うけど、
でもそう書かないと知らないやつの彼女になろうなんて物好きな女性なんか
誰もいないと思った。
そのへん矛盾していた。
普通彼女募集なんて広告は誰も出さないんだけど、そんなアホなことを
思いついた陽介にとっては藁をもすがる気持ちってことだったんだろう。
マッチングとか出会い系は陽介にとっては論外な話だった。
だけど「まとも」ってなんだろうね?。
まあそれでこんなアホな募集に応募する女がいるかどうかは疑問・・・陽介自身
出しておいて半信半疑だった。
今の女性の人口は64,815,079人・・・その中の大人の女性でひとりくらい話に
ノってくる人だってもしかしたらいるんじゃないかって陽介はかすかな
期待を持った・・・まあ駄目元ってことで。
つづく。
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