最弱魔女の異世界転移〜魔法のない異世界で無双する。ここでなら私は最強!〜

@EBITIRIparty

序章

第零話 転寝の魔女

 森の中にりんごの木が一本。

 木の上では、少女が転寝ていた。


「君はなんで、そこで寝ているんだい?」


 少年が尋ねる。

 少女は目を覚まし、起き上がる。


「起きたらここで寝ていたの。なぜだかわからなかったから、幸福なる二度寝に入ったわ」


「……そっか。でもさ、昨日はここに『りんごの木』なんて、無かったはずだよ」


 少女はなんでもないことのようにーーーーーー


「私が生やした」


「は?」


「私は魔女だからね」


 これが魔女と少年の出会いだった。




 魔女は少年の住む集落に迎えられた。

 衣食住を与えられ、お礼に人々の望みを叶えた。

 川を引き、不毛の大地に緑を生やし、生命を生み出し、飢饉を救った。

 

 魔女は祀られた。

 魔女は最初に出会った少年とつがいになった。


 魔女は望みを叶え続けた。


 家を豪華に、美味い飯を、家族の健康を、子宝を、結婚したい、美しくなりたい、強くなりたい、土地が欲しい、大切な人にまた会いたい、悪を懲らしめろ、異端者を追い出せ、逆らうな、戦争に勝たせろ、黄金を造れ、不死身にしろ、逃げるな、腕を寄越せ、脚をよこせ、体を寄越せ、叶えろ、神にしろ、神を殺せ、神を消せ、赦されると思うなよ、永遠を、不滅を、全てを寄越せ、全てを叶えろ、全てを破壊しろ、終わらせよ、滅ぼせ、叶えるな、叶えろ、叶えるな叶えろ叶えるな叶えろ叶えるな叶えろ叶えろ叶えろ叶えろ叶えろ叶えろ叶えろ叶えろ叶えろ、全部消えてしまえ----



 魔女は星の数だけ望みを叶えた。

 最期の望みは----




『頼むからどうか死んでくれ』





 最愛の少年からの望みだったので、叶えた。


































 異界より魔女来たり

 魔女は森を拓き、海を割り、国を栄えさせ

 人心を誑かした

 神に裁かれ、殺され、赦されない

 魔女は狩られた

 死後も世界を侵し続ける


    













     


















      転寝の魔女は少年を待つ

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