第60話 トンネルに入ってみました

取り敢えず、報告だけ聞いても判らない事は在るので、実際にトンネルの中に入ってみる事にする。


トンネルの入り口から中腹までは、幅10メートル。高さ6メートルと馬車が擦れ違えるくらい広い。


地面も整地されており、多少はデコボコ感はあるが、これなら馬車も問題なく通れるだろう。


そして、更に驚くことに為るレイジ。


「なんだ?この明かりは?」


トンネル内は、思っていたよりも遥かに明るく。


通路の脇には、明かりが等間隔で並べられた鉄柱が立っている。


「魔道街灯です。」


アベルが答える。


「魔道街灯?」


「はい。ちなみに、作ったのはセツナ様ですよ。」


アベルの言葉を聞いて、眩暈を覚えるレイジ。


鋼の精神で、倒れるのだけは何とか耐える。


「セツナが作ったのか?これを?」


「はい。ルナが、暗くて作業しにくいと言ったら。


セツナ様とタイガ様が2人で考えて、セツナ様が作ってしまいました。」


良い笑顔で答えるアベルに、レイジと言えば、もうなにをどう答えれば正解なのか訳が分からなくなっている。


「今も、かなりの数を作成中なので。その内にシグルートの街の全域に設置出来るようになると言ってましたよ。」


さらに追い打ちをかけるアベル。


「光源は何を使ってる?」


壁に手を着きながら倒れそうになるのを堪えるレイジ。


魔物モンスターの核ですね。


スライムの核で、30日ほど。ゴブリンの核で60日~70日前後だと言ってました。


スライムなら子供でも倒せますし。


スラムの子供たちの小遣い稼ぎに為って良いでしょう。


と言ってましたね。」


「ユキナは何と言ってた?」


「もう好きにしなさいと。おしゃってました。」


(つまりは、手に負えないから放棄したと……。)


レイジパパの胃痛の元が更に増えた。


ついに耐え切れなくなったのか、レイジは胃を押さえながら蹲ってしまう。


 * * *


何とか持ち直したレイジはトンネルの中を進む。


やがて、問題だったアダマンタイトとオリハルコンの岩盤地帯に差し掛かると。


トンネルの幅は急に狭くなる。


幅3~4メートル。高さ3メートルと言ったところだ。


なにせ、急造で掘り進むために、余り大きくすると崩落の危険もあるので。この大きさにしている。


一応は、掘った箇所は、土魔法で周囲を固めて強度を補強しているが。


そこから広げるのは国に丸投げ予定だ。


一応、アダマンタイトとオリハルコンの岩盤地帯の箇所は、かなり深く掘って置き。


奇麗に戻して隠しているので、見つかる事は無いだろうと思う。


しかも、ドワーフ達の技術によって、見事に隠されているのだから。


例え鑑定持ちでも、50メートル向こう側の箇所までは鑑定不可能だ。


レイジの胃痛は、この件に関しては、これ以上酷くはならないだろう。


この件に関しては。

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