第21話 非常識認定されました

妖精の森クエスト開始から3日目の朝。


妖精の森の近場の、キャンプベースで朝食を取っている時。


「アベル。まだ余裕は在りそうか?」


「大丈夫です。 帰りの分を除いても。 あと2日は大丈夫です。」


「ビート。今日は、もう少しだけ奥に行かないか?」


「俺たちは良いが。アベルがきついだろう。」


「それな。俺の見立てだと。アベル。」


「はい。」


「お前。大陸商業組合プラントのクエスト余り受けてないだろう?」


「えっと……。」


「別に攻めてる訳じゃない。


ただ、お前の動きを見てて分かったんだが。


等級的には、5等級と思える動きなんだよな。」


ベルンの言葉に、【そう言われて見ると】と。


言う表情で、アベルを見るメンバーたち。


「お前。今までの戦闘でも、出しゃばり過ぎないようにしてただろ。」


ベルンの言葉に、目をそらすアベル。


それは、肯定だと言ってるようなものだ。


「ってことで。 ビート。 奥に行こう。」


「ちょっ! 俺は何も……。」


「珍しい素材が取れるかもだぞ?」


「うっ……。」


「はい。決定だね。 アベル、観念しなさい。」


シャノンが言う。


「それと、今日からは使い慣れた武器を使えよ。」


「そこまで、バレてましたか?」


「当たり前だ。 剣士ソードマンだぞ俺は。


武器の振り方で、得意な獲物かどうか位は分かるっての。


今まで、言わなかったのは、何か理由があると思っての事だ。


まさか、手を抜いてるとは思わなかったがな。」


「えっと……。手を抜いてたんじゃなくてですね……。」


そう言って、火炎剣をマジックポーチから引き出すアベル。


「おまっ!」


「ちょっ!それっ!」


「魔剣っ!?」


ベルン。シャノン。ヒルト。


「どこのダンジョンだ?」


これはビート。


「あぁ~……。え~っと……。 ルナが作ったんです。」


「はぁ!? 作った!? マジかっ!?」


ベルンが驚きながら聞き返す。


「はい。マジです。ルナが錬金で作ったんです。


で、こう言う反応に為るのは分かってたんで、出しにくかったんです。」


「ちなみに、トレントの枝を材料にすれば。


魔力回復速度向上効果の付いた、杖や錫杖も作れます。」


「ちょっ! それ欲しいっ! 作ってっ!」


「材料持ち込みなら、錬金の手間賃だけで作って貰えます。


必要な材料は、後で教えますね。」


「絶対だよっ! マジで、お願いだよっ! 忘れないでねっ!」


結構必死のシャノンだった。


その横で、ベルンとヒルトも、訴えかけるような目で見ている。


「帰り道に教えますので……。」


「スマン。」


「お願いします。」


2人にも、後で教えると約束する。


「因みにだが。その剣の付属効果は?」


「火炎属性付与。魔物モンスター特攻。筋力上昇20%。素早さ上昇8%。です。」


アベルの言葉を聞いて、みなが眩暈めまいを覚える。


「なんだ……。その性能は……。」


「普通は、1つ付いていれば御の字。2つ付いてたらラッキーなのに……。」


「何で、4つも付いているんですか……。」


「レアどころか。下手したら神秘級ミスティックだぞ……。」


ベルン、シャノン、ヒルト、ビートの順。


「あぁ~。ルナが言うには、神秘級ミスティックまでは行かないそうです。性能が微妙らしくて。


良くても、エピック級らしいです。あははは……。」


「良く分かった。 夫婦して非常識だと言う事は……。」


ベルンが呆れた表情で言う。


「ちょ!酷くないですか!?」


「自覚してないアベルが悪い。」


シャノンが言う。


「です。」


これはヒルト。


「良し。中層まで行こう。」


ビートが締める。

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