第20話 勘違いされちゃいました
「ガアアア!」
襲い来る、スカルウルフの攻撃を躱して、側面から頭部めがけてメイスを振り下ろす。
「ギャッ!」
メイスが頭部に当たって、スカルウルフの頭部が破壊され動かなくなる。
「他は…。もう、終わってる…。」
2匹目のスカルウルフを倒し終えて、他のメンバーの加勢に行こうとしたのだが。
10匹近くいた、スカルウルフの群れは、すでに殲滅されていた。
★スカルウルフ:
狼型の
「アベル。怪我はないか?」
アベルに近寄りながら、ビートが声を掛けてくる。
「はい。大丈夫です。」
ビートに返事を返すアベル。
「しっかし、あのアベルがねえ。」
アベルを見て言ったのは、
「ほんと。なんで、もっと早く
同じく
「そう言ってやるな。アベルの追放を止められなかった時点で、俺たちも他の奴らと同じだ。
戻ってきたとしても、アベルへの風当たりが強くなるだけだろう。」
いま、アベル達は、シグルートから歩いて2日の所にある。
妖精の森に来ている。
アベルの目的は、ルナとエリスに頼まれた錬金素材集め。
流石に1人では、野営も兼ねた素材集めは難しく。
どうしたものかと思案していたら。
ダメ元で、理由を話して、同行させてくれないかと頼んでみた。
そしたら、意外にも、あっさりと同行を許可してくれた。
そして、2日の野営を済まして。本日3日目からクエストの素材集めに入ったのだった。
「あ~~!しかし!本当に勿体ないっ!
自衛も出来て。容量が小さいとはいえマジックポーチ持ち。
そこに加えて、野営時の料理も出来る人材!
よしっ!私専用の雇われに為りなさいっ!」
「こら。シャノン。 無茶を言うな。 アベルが困ってるだろうが。」
「だって、団長~~。マジ有能すぎの物件だよぉ~。」
ビートの言葉に、なおも食らいつくシャノン。
「何等級になったんだ。アベル。」
「5日前に、7等級に昇格しました。ベルンさん。」
「何度も言ってるが。クエスト中は、呼び捨てにしろ。
戦闘中の、いざって時に、呼び捨てに出来ない時間が生死を分ける時が在る。分かったな。」
「はい。注意……。分かったよベルン。」
「それで良い。」
倒したスカルウルフの残骸を、アベルが回収していると。
「しっかし、変わってんな。クエスト報酬は要らないから。
倒した、
ベルンが、マジックポーチに回収しているアベルに言うと。
「ルナ達の錬金の素材になるんです。
僕にとっては、クエスト報酬よりも有り難いんですよ。」
「確か、
シャノンが爆弾を投下する。
「はっ!?2号さん!?何それっ!?」
アベルが驚きながら言うと。
「あれ? 街じゃ、ちょっとした噂になってるよ。
アベルが、新しい嫁さんを取ったって。」
「なんで!そんな噂になってんですかっ!?」
「そりゃ、3人で仲良く暮らしてりゃ。そう思われても不思議じゃないよね?」
そう言って、ベルンとヒルトに視線を向ける。
「俺も、そう思ってた。」
「すまん。俺もだ。」
ベルンとヒルトが言うと。
アベルが、縋るようにビートに視線を向けると。
「悪い。俺もだ。」
最後のスカルウルフの残骸を回収しながら。
「終わりました。時間を取らせてすいませんでした……。」
そう言って歩き出すが。
「俺は、そんな風に見られてたのか……。」
などと、小さな声でブツブツ言っていた。
* * * *
この大陸では、一夫多妻も、一妻多夫も認められている。
と言うか。教会で式を申請しなくても、夫婦を名乗っていればOKと言う、割とカオスな状態です(笑)
養える財力さえ有れば、後は当人たちの裁量で、仲良く出来るか出来ないかだけの問題なのです。
ただし、作中でも書いていますが。 市民権の無い人たちが多いので。
結婚するのは自由なのですが。
市民権が無いと、家も買えないし、家を借りる事すら難しいと言うのが現実です。
市民権が有れば、街の役所に届を出して登録してもらい。
その街での戸籍を獲得できます。
市民権の無い人は、街の住人ではなく、出稼ぎに来ていると言う扱いだと思ってください。
今のアベル達の状況は。
結婚はしてるけど、市民権は無く。
教会庇護のもと、教会内の敷地の家を借りていると言う状況です。
なお市民権は、お金で買う事が可能です。
1人に付き、大金貨1枚で市民権を購入。
戸籍を登録されることで、街に税金を納める義務が発生。
一般の市民なら、年収は銀貨2枚~3枚くらいなので。
税金は、年に銅貨2枚~3枚くらい。 約十分の一 が税金徴収。
商売経営者は、一応は帳簿を付けていますが。
かなりのザル帳簿です。
まぁ、領主側としては。 ちゃんと税金を納めてくれてさえいれば。
街の治安維持(街を囲む防壁。街の中の巡回兵士。防壁と門の衛兵たち。)に回す資金が
もちろん、市民権を持っていれば、何かの犯罪や揉め事に巻き込まれたときは、優先的に保護がされやすくなります。
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