追放から始まる新婚生活 【追放された2人が出会って結婚したら大陸有数の有名人夫婦になっていきました】

眼鏡の似合う女性の眼鏡が好きなんです

第1話 追放されちゃいました

「アベル。申し訳ないが、血盟クランから抜けてくれないか。」


血盟クランの創設者、ビートから会議室に呼ばれて向かうと。


神妙な顔つきで、ビートが俺に言う。


「あぁあ……。うん。判った。」


「すまんな。」


「うん。仕方がないさ。 むしろ、今まで有難うな。今まで雇ってくれて。」


「少ないが。これは退職金だ。」


そう言って、革袋を机の上に置く。


「お世話に為りました。」


お金の入った、革袋を手に取り、ビートに軽く頭を下げて部屋を出る。


「よう。無能。ようやく追い出されるのか。」


出口に向かって歩いていると、扉の前でディストが俺を見て言う。


「ああ。世話に為ったな。」


「ああ、これで俺も清々するわ。ようやく、足を引っ張る奴が居なくなるんだからな。」


そう言って、嫌味な表情で俺を見るディスト。


「迷惑をかけた。申し訳ない。」


ディストに向かい頭を下げて、血盟クランハウスから出て行く。


「無能は無能らしく。自分にあった背丈の仕事でもするこったな。」


無能。 もう、何度も言われ続けた言葉。


成人の年に為った15歳の時に、教会で授かった職業ジョブスキル。


俺だけの職業ジョブスキル。


【家事手伝い】


剣士とか剣豪の職業ジョブスキルなら。


剣の扱いが上手くなりやすくなり。


魔法使いとか賢者オラクルなら、魔法の扱いが上手くなりやすくなる。


他にも職業ジョブスキルは生活関連の、大工に裁縫。


鍛冶師に調理師。細工師に薬師。


数多くの職業ジョブスキルが確認されている。


大抵の人は、職業ジョブスキルで職が決まると言って良い。


職業ジョブスキルで、得意になれる職が在るのだから、その職業ジョブスキルの職に就くのが食いっぱぐれが無くなるんだから。


まぁ、職業ジョブスキルを持ってても、その職に就かずに、あえて自分が本当に就きたい仕事に就く人も居ない事はない。


その分、他の人よりは苦労するけどね。


俺の職業ジョブスキルは家事手伝い。


しかも、俺は成人に為って、孤児院を出た身なので、家もないし家族も居ない。


憧れだった、大陸商業組合プラントに登録して、この街の中規模血盟クラン英華の剣に、雑用も兼ねた荷物持ちポーターとして加入して3年間働いた。


頑張ったけど。何をしても普通。他のスキルも派生せず。


今日、見切りをつけられて解雇になった。


居ても居なくても、左程の差はないなら。そりゃ、仕事の出来る奴を置いておく方が良い。世の常だ。


気が付けば、街の広場の噴水前の広場に来ていた。


ベンチに腰を掛け、これからの事をどうしようかと考えていた。


「はあ。どうすっかなぁ~。」

「はぁ。どうしようかなぁ~。」

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