第5話名前をつけました。未確認先生って。

<その5>名前をつけました。未確認先生って。


赤い瞳の…小さな女の人は。

不思議な人でした。

遠い遠い。(もうひとつの)地球から来た…その人は。

私たち(人類)より。ずっとずっと進化した…(超人類)でした。


女の人に。名前を聞いたんけど……。

名前という(記号)は…ないんだそうです。

そんなにね。必要。ないんだそうです。


……えっ。名前がない。ほんとにいっ?

……不思議いいっ‼︎


女の人が言うには。

向こうの人達…(超人類)の人達は。

あまり。口を開けて…しゃべらない。

声を出して…しゃべらない。そうですっ。

思うだけで。相手を意識するだけで?

お互いの会話が。ぜ〜んぶ。普通に普通に…できるんだって?

スゴすぎです……。


だから。……わたしね?

その女の人に。(ないしょ)で。ニックネーム?

(呼び名)を…つけました。


……名前をつけたんですっ‼︎


この前ね。夜ごはん食べたあと。パパと一緒にテレビみてたら。

(UFO)やってて。(未確認なんとか?)って…言ってて。

へええ。(未確認)って。おもしろい言葉だなあ…って。

ずっと思ってたからっ……。

で…だから。それを思い出してね?…つけたんですっ。


……(未確認○○)って‼︎


そうです。かってにねっ。心の中で…つけたんです。

クララも。「いい。いいっ…」って。賛成してくれて。

それで。そのまま。二人で…言ってます。


……キイーーィィーーン……キュルキュルーーン……キュルルゥーーーン…♪……。


遠い遠い。はるか遠い。別の宇宙からやって来た……。

光速宇宙船でやって来た……。

赤い瞳のその人を。私は……。


……未確認先生。


と…名付けました。

先生?……。

なんで先生……なの?……って。思ってませんか?

それは。こういう。つづきの(お話)が…あるからです。


床にペッタンコの。

(おやつ)を食べる…小さな丸いテーブルに。

私と……。

ドーナツが。もう。とっくに無くなった…クララと……。

そして……。

赤い瞳の(未確認先生)と。三人で……。


丸いテーブルに。ピッタリ(からだ)を…くっつけてねっ。

ふむふむ…ふむふむ…ヒソヒソと。お話をしてたんです。


……すると。なぜか…ますます?


二階の部屋の…窓の外でね?

スズメたちがね?

もおおっ。うるさいくらいに…鳴いててっ‼︎

ちょっと変だなあ?…とは…感じてたけど。

先生のお話がスゴすぎたから。

外のスズメは…ほっといて。

先生のお話を。ふむふむと…聞いてました。


……じつは。未確認先生。(ひとり)じゃなかった⁉︎


先生の。(おじい様)といっしょに…来てたんです。

もう。歩けなくて。ベッドで。横になったままで…やって来ました。

私たちの地球なら?

100歳くらいの…おじい様だそうです。


先生の(おじい様)。

子供たちに教える。(子ども学校)の先生を…してたんだそうです。

私たちの地球なら。小学生ぐらいの先生かなあ?って。

でも。歳をとって。(からだ)も疲れて。けっこう前に…やめたそうです。


そして今は。ベッドから起きるのも…やっとだそうです。

で…最後に。最後の最後にっ。

もう一度ね。もう一度だけっ。

(子供たちの笑顔が。見たいなあ?……)

(子供たちの元気な声を。聞きたいなあ?……)って。それで。


おじい様……。

タイムシップがコントロールできる。

パイロットの未確認先生に…たのんだんだそうです。

(別の地球。月の見える。青い地球に行きたいなあ?……)って。


……でも。変でしょう?


なんで。わざわざ。私たちの地球まで…ね?

わざわざ遠くから。宇宙船に乗って。見学に来る…必要が…あるんでしょうか?

自分たちの星で。自分たちの国で。

自分たちの……。

(もうひとつの)地球で見学すれば…いいでしょう?

そう。思うでしょう?


でも。それはね。無理なんですっ…できないんですっ。

なぜだと…思いますか?


……それは。学校が。ないからですっ‼︎


もうね?

おじい様の星では。おじい様の国では。

もう……。

学校というものが…なくて。

学校という(しくみ)が。先生や…おじい様たちの国では。

もう。必要…ないんだそうです‼︎

学校が無いなんて。不思議で不思議で…たまりません?


……(超人類たち)が住む(もうひとつの)地球では。


約…30年くらい前に。

学校での勉強や教育が。完全に。無くなったんだそうです。


わざわざ…学校で教えなくてもね?

限りなく。限りなく…発達した。進化した。

超人類の科学技術の方法で。

(眠っている)あいだに。夢の中で。ごくごく自然にね?

その日(一日分)の勉強が。ぜんぶ。頭の中に…入ってしまうんだそうです‼︎

眠ってる(あいだ)にですよっ?


……信じられません。ほんとかなあ?


だから。今じゃ。うん…だからね?

学校の先生も…いらないし。いないしっ。

学校だって。もう。ありません。

それにしても。学校ない…って。ほんとなんですかねえ?

ちょっと。うう〜〜ん。想像できない。う〜〜ん……?

だって。だって。それじゃあ。(向こうの)子供たちって。


……まいにち。楽しいのかなあ〜〜〜?


じつは。ですね?

未確認先生の(おじい様)が。最後の一人の。

(子ども学校)の…先生でした‼︎

最後の最後の。学校の先生…だったんです‼︎

おじい様……。

だから。どーしても。なんとしても。

本物の。今の。(子供の)学校が…見たかったんだそうです。


・天体の大きさも…(ほぼ)同じ。

・人類の感じも…(ほぼ)同じ。

・学校の仕組みも…(ほぼ)同じ。

・そっくりな星…私たちの地球に。

・まるで兄弟のような星…この青い地球に。


おじい様。どうしても。どーーしてもっ。

目が見えるあいだに。息をしてるあいだに。

宇宙船で…来たかったんだろうなあ?


……だから。


わたしが?

未確認先生…って。先生…って。名前をつけたのは?

こういう理由が…あったからです。


……ね?。

……いい。名前でしょ?


そして。日曜日の…午後でした。

タイムシップで。ジャンプしてやって来た。

未確認先生と…おじい様は。

本物の学校。私たちの小学校。(お休み)だったから。


………しゅん。


でも。とりあえずっ。(した見)だけ…しようかなあ?って。

それで。とりあえず。未確認先生だけ…ひとりで。

宇宙船を止めた上空から……。

そっと下に。スッと校庭に。おりて来たんだって。


でも。そこは。

だあ〜〜れもいないっ。春の午後の。満開の桜の…校庭でした。

ひとりで立ってた先生。

ほんとにほんとに桜が綺麗で。美しくて。気持ちよくって。

ちょっと。ぼ〜〜っと…してたんだって。

そんくらい。満開の(桜日和)は…気持ちよかったって。


来てよかった。ああ……来てよかった。

ここは。子供たちが元気で遊ぶ……校庭。

元気な声で走りまわる……校庭。

あしたは。そんな光景が…目の前に広がるんだって思うと。


……未確認先生。


感動が…いっぱいになって。胸が…つまったんだって。

そして。ほんと。心から…思ったんだって。

「はやく見せてやりたいっ。おじい様にっ」…って‼︎

先生。月曜日の朝がくるのを。

宇宙船の中で。わくわくしながら…待ってたんだって。


……そうそう。宇宙船の。種類の説明をします。


光速宇宙船タイムシップには…いろいろな形と大きさがあって。

一番の小型タイプは。(タイムボート)と言います。

みなさんも。見たことあるでしょ?

池なんかに浮かばせて遊ぶ。

二人乗りの。手で(こぐ)…小型ボート。

そう。アレくらい…なんだそうです。ちっちゃああい……。


で…先生たちが。乗ってきたのは?

観光バス。夜行バス。……わかるかな?

そんくらいの大きさのタイプ…だそうです。

私たち。ハッキリ見てないので……。

そういう大きさなんだ…そうですよ。ふふ。


……あ。そうそう。タイムシップね?


(ステルスシフト)という。機能…仕組みがあって。

ONにすれば。

自分の。宇宙船の…機体の姿をね?

完全に。(消す)ことが…できるんだそうです。完全にです。


(消すっ)……と言っても。

手で(さわれば)ね。

さわった…ふれた。手のひらの感覚は…ちゃんとあって。

その……。

目に見える。機体の姿…形…だけを消して。

(影の忍者)のように……。

(人の目)に。見えないようにする。(しくみ)なんだそうです。


……スゴいですっ‼︎


あと。タイムシップだけど。

私たちの小学校に…(いる)時は。

学校の。校舎の屋上の。10メートルぐらい上空に…いて。


そっと。静かに。ゆれないで。

見えない…糸のついた風船のように浮かんで。

ふんわりふんわり空中に。ただの空気のように。

じっと。そっと浮いて…止まってますっ。

もちろん。いっさい。見えませんっ‼︎


だから。私とクララ以外は。タイムシップのこと……。

たぶん。誰も知らないし。もちろん。見てないと思います。


……ただ。ただね。あとで(お話)しますが。


パパとママには。先生のことを…助けてもらうために。

先生のこと…話したし。ちゃんと。会わせたり…しました。

だから。パパとママは。先生のこと…知ってますっ‼︎


しょうがなかったの……。

だって……。

私とクララだけじゃ。子どもだし。だめだし……。

先生っ……。絶対絶命だったんですっ‼︎


……あとで言いますっ‼︎


そして。きのう。

日曜日の午後。未確認先生。校庭に…ひとり立ってたら。


足元に……?

コロンと。サッカーボールが…あったんだそうです。

だれか。生徒か誰かが。おかたずけ…忘れたんでしょう。


……先生ね。


サッカーボールなんて。

めずらしいし。さわってて…楽しくなってきたし。


……それで。


ポン…ポン…♪…と。

ボール。地面にたたいて…遊んでたんだって。


そんな時…ぐうぜん。私とクララが。

グミ食べながら…学校の前を通った。

と……いうワケです‼︎

ここから先は。みなさんの。知ってるとおりです。


……弱点。

……未確認先生の。弱点。


……それは。空気と。(ばい菌)でしたっ‼︎

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る