第3話私とクララのお部屋に…女の人が?

<その3>私とクララのお部屋に…女の人が?


春の日暮れに息をきらせて。

はあハア…はあハア。はああ………。


ママ。「どこ行ってたのお?」「暗くなる前に帰りなさいって…言ってるでしょっ」

わたし「ごめんなさあいっ。ちょっと……」

ママ。「ちょっとじゃなくてっ。もおお。クララわあ?……」

わたし「……あれっ?」


小4の妹は。小6の姉より…かしこくて。

さっさと手を洗って(うがい)して。

あしたの教科書とか。パパッ…とやっておいた(ドリル)とか。

なぜかハンカチとか?

なぜかなぜか。自分の部屋じゃなくて?

よお〜く。自分を見てもらえる。(パパの目の前)で…準備してたの。


さすがですっ。

さすが。私の妹クララは…かしこいですっ。

イッポ外へ出れば…ね?

「お姉ちゃん?お姉ちゃあん?」…って。

どこへ行くにも。ピッタリくっついて来るのにねえ……。

でも。カワユイから。ゆるします。


……寝顔がっ。(これ。笑えるでしょ?)


私は。……普通です。普通だと思います。

普通の女の子です。

でも。ひとつだけ。小さな秘密があります。

それは。

変わった夢を見ると…あたるんです。

夢で見たことが…あたるんです。

夢の中の出来事が。何日かすると。現実の世界に…あらわれるんです。


不思議でしょう?

私だって…不思議に思います。

でも。べつに。とくべつ。超能力があるわけでは…ありません。

透視能力も瞬間移動も念力も…ありません。

ただ。たま〜に。変な夢を見るとね?

あたるんです……。

これ。誰にも言ってない。私だけの。ちょっとした…秘密です。


……つづけます。


あなたは。

もし。もうひとつ。

(この地球と同じ大きさの地球)が…ある…って言われたら。

どうしますか?

どう…思いますか?


そして……。

その。(もうひとつの地球)の…(そこで生きる地球人)が。

信じられないくらい…ものすごくて。

科学が(超)進み。知能が(超)発達し。運動能力が(超)バツグン‼︎

と…こんな。夢のような(超)地球人が…いるとしたら。


……あなたは。信じますか?


不思議な(お話)をして…変に思わないでくださいね?

(未確認先生)と関係があるんです。


次の日でした。

だから。月曜日でした……。


朝から学校は大騒ぎで‼︎

きのうの。(桜の花びら)の。大量の…掃除かたづけにね?

もお。先生がた…バタバタで。ほんとに…大変そうでした。

スコップ持ったりホーキではいたり。大きなゴミ袋で…集めたりっ。


(ごめんなさい……)って。わたし。心の中で…あやまったけど。

きのうのことは。誰にも…言わなかった。クララも…言わなかった。

内緒の秘密。秘密の秘密。秘密のほうが…いいと思って。

私とクララは。きのうの夜。二段ベッドで…話し合って決めたんです。

「ぜったい。ないしょだよ?」…って。


……その日は。


理科室で…(重さ)の実験があって。

先生が。薬品を使って見せてくれたりして…とっても楽しかった。

わたし。わりと理科が…好きなんです。

だから。科学の本とか。図書室で…よく借りてきます。


で…その日は。

(重さ)をはかる(天秤ばかり)を使ったんだけど。

実験台の…天秤ばかりをね?

小さな金属の(重り)を左右のお皿に乗せた…天秤ばかりを。ですね?

イスにすわって。目の前で。目の前で見てたら……見てたら……。


左の重りが…ゆら〜り。右の重りが…ゆらゆら。

左の重りが…ゆらゆら。右の重りが…ゆら〜り。ゆら〜り……。

ゆらゆら…ゆらり。ゆら…ゆらりん。

ゆら…りん…りん…♫


……リンリン♪…チリリンリン♫


耳元で。……ん?

なんかの音が聞こえて…気がつくと?


……私とクララの部屋でした‼︎


丸い。(おやつ)を食べる小さなテーブルに。

クッションの上にヒザをおって座っている…三人。

……三人?

わたし。クララ。そして…赤い瞳の女の人。

……女の人?


……えっ⁉︎


女の人「……目がさめた?」「きのうは。どうも……」

わたし「ん?……」「夢。みてる?」

クララ「お姉ちゃん?……」「夢じゃないよ?…きのうの。女の人だよっ?」

女の人「ビックリさせたわねっ」「これを。持ってきました」

わたし「あっ。天秤ばかり……?」


いつのまにか…私は。

学校から帰った妹のクララと。自分たちの部屋に…いました。

窓の外からは。気持ちいい…春の風っ。

そして。春らしい。午後の陽射しが…入っていました。


夢じゃ。……ありません。ほんものデス。

じゃあ。……なに?なに?なんなの?


ヒザの上の丸いテーブルには。

理科室の実験で…ゆらゆら見ていた。

あの。(天秤ばかり)が…おいてあって。

ちょっと…理科室のとは。色と形が。ちょっと…ちがってたけど。

まちがいなく。天秤ばかりでした。


……赤い瞳の綺麗な人。

……七色のドレスを着た小さな人。

その人の声は。

遠い山から聞こえて来る…(山びこ)のようでした。

となりに座っているのに。そう…聞こえます。不思議でした。


……チュンチュン。チュンチュン…♪


と…スズメたちの鳴き声が。

窓の外から…うるさいくらいに聞こえてきて。

スズメたちも。なにか。普通でない(何かを)…感じてるようでした。


その人は。また。

遠くから聞こえてくる。

(山びこ)のような。不思議なその声で。

静かに。私たちに…話しかけてきました。


女の人「ワタシは。(もうひとつの地球)から…来ました」

わたし「え?……もうひとつ?」

クララ「べつの地球から来たの?」「ほんとに〜〜?」

女の人「そうです。本当です」「三角虹の下を通って来ました……」


と…女の人が言った。その時でした。

トントントン…♪…と。

ドアをノックしてから…ママが入ってきたんです。


ママ。「おやつ。持ってきたわよお?」

わたし「ああーっ。ママっ……」

クララ「やばっ……」

ママ。「なによお。なに?」「やばって…なによっ?」

わたし「……アレ?……イナイ」

クララ「……ドコ?」

ママ。「ねえねえ。なんなのよお。食べたら勉強してよねえ?」「もおお……」


…と。そう言いながら…ママ。

ドーナツとカルピスをテーブルにおくと。

くるっとまわって。急いで…部屋を出ていきました。

バタン。ダダダダダッ…っと。階段をおりていく…ママの足音でした。


ママ?…ごめんね。ごめんなさい。

不思議な。小さな(お客様)がいるんです。

私とクララの(となり)に座ってます。感じます。……(いる)のが。

でも。今は。その人の姿は…見えません。

自分の姿をね?

消してるみたい?……なんです。


すると。

キーーン‼︎…っと。(耳なり)のような音がして。


すると。……出たのっ。

私とクララの横にいる…はずの?…女の人が。

さっきまで。自分の姿を消していた?…女の人が。

また。私たちの目の前に。姿を…見せてくれました。


ふわあ〜っと。霧の中の。小さな(明かり)のように。

その顔が…赤い瞳が。そして。金色の髪と…七色のドレスが。

ふわあ〜〜っと。もお。やわらい…もふもふした。光の(かたまり)みたいになって。

もう一度。そのまんまの姿で。

私たちの(となり)に。 あらわれて…くれました。


……でも。でもでも?


(おやつ)は。二人ぶんしか…ありません。

どーしましょ。そだ。半分っこ。でもいい?

女の人ね。ちょっと笑って…言いました。


女の人「ワタシたちは。あまり…食べないのです」「お腹が…すかないのです」

わたし「へええ。そうなんですかあ?」

クララ「だから小さいの?」「どんなの…食べるの?」

女の人「カプセルです」「大人は一日10個。子供は…3個から5個です」

わたし「へええ。大きさって…どのくらいですかあ?」

女の人「ここに。あります……」


そう言うとね?

その女の人。ドレスのポケットに…手を入れて。

スマホの半分ぐらいの大きさの…ブルーの薄い小箱を出したの。

その小さなハコの。薄いフタをあけて……。

女の人ね。私たちに。中を見せてくれました。


……そこには。


花粉症の。カプセルの薬。みたいなものが…十何個か入ってたけど。

これが。ほんとに。食べ物なのっ?

こんなんで。生きていけるっ?…だいじょうぶなのお?

って…思ったけど。笑顔で言うから……。


女の人「そうです」「これで…じゅうぶんです。問題ありません」

クララ「じゃあ。ドーナツもカルピスもっ」「いらない?…食べない?」

女の人「どうぞ?」「地球の人は。お腹がすいて…うらやましい」「どうぞどうぞっ」

わたし「もおお。クララったら」「お話…してから。食べてよっ?」

女の人「いいんですよっ。どうぞ?……」

わたし「この。天秤ばかり……」「あなたが。持ってきたんですか?」

先生。「はい。ワタシです」

クララ「なんに使うの?……」

先生。「はい」「お二人に。聞いてほしい。知ってほしいことが…あります」


……ここからは。


私が。未確認先生に変わって…お話をします。

三人の会話形式では。とっても…長くなるからです。

大事な大事な…お話です。(もうひとつの地球)についてです。

それと…(女の人)のことです。

あとから。私がつけた名前の…(未確認先生)のことです。


……それでは。私のお話。聞いてください。

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