未確認先生。

kuzi-chan

第1話日曜日の校庭に…だれ?

<始まり>


……未確認先生へ。


お元気ですか?

私も妹も元気です。

いま。外は小雨です。もうすぐ…やみそうです。

もし。雨上がりの虹が…でたら。七色の。きれいな虹が…でたら。

この手紙を。紙飛行機にして。虹の空に飛ばします。

未確認先生に。とどくと…いいなあ?


先生?

ほんとに。ほんとに。楽しかったよっ。

お元気で。

また。いつか。会えますように………。


<その1>日曜日の校庭に…だれ?


はじめまして。

虹隠ララ(にじがくれララ)です。小6の女子です。

忍者みたいな名前だね?…って。よく言われるけど…違いますよっ。

妹が一人います。(クララ)と言います。二つ下の小4です。


このお話は。

私が体験した…経験した。不思議な出来事の(お話)ですが。

お話って…むずかしい。

うまく伝わらないかも…しれません。

じょうずじゃないかも…しれません。

でも。がんばって(お話)するので。聞いてください。


……そう。

……あれは。桜が。満開に咲いてる頃でした。


日曜日だったかな?

雨あがりの午後。妹のクララと…コンビニの帰りに。

新しい(グミ)を買ったので。食べよっか?…ということになって。

二人で。歩いたり止まったり…歩いたり止まったり。

なかなか家まで行かないで。

仲良しの妹と。のんびり…のんびりと。

雨あがりの。日曜の午後を…楽しんでいたんです。


で…そして。このあとに。

このお話の…最初の出来事が。

不思議な出来事が…おこったんです‼︎


グミ食べながらね。妹と(おしゃべり)しながら歩いてたら。

とっても綺麗な。てんてん模様の虹が…出てたんです。

普通の普通の。丸い。いつもの。半円形の虹でした。

でも。なかなか虹なんて…見ないでしょ?

だから。二人でねっ。

帰り道に…かならず通る。小学校のフェンスの前で立って見てたんです。


そしたら。

クララが「えっ?」…私も「えっ?」

二人で「ええっ?」…って。

もお。声を出すくらい…ビックリしてっ。

だって。

いま見てる。空の虹が。半円形の虹が。

(三角の虹)になったんですよっ‼︎

(三角)ですよっ‼︎

ウソじゃありません‼︎…ほんとですっ‼︎


クララ「お姉ちゃん?…虹が動いたっ」「うっそ。えっ?…三角になったよっ?」

わたし「見た見たっ。三角だっ……」

クララ「えっ?」「こわあい……」

わたし「こっちきてっ。こっちこっちっ……」


私が。不安そうにしてる。クララの手をにぎった…その時でした。


ポン…ポン…♪…と。


ボールが(はねる)音っ…したんですっ。

え?……なんだろう?

バレーボールのような。サッカーボールのような。そんな音でした。


校庭のほうからです。でも。日曜日ですっ。

学校行事とか。大会とか。そんな予定は聞いてません。

だから。誰もいない…はずでした。

二人でね?

ちょこっと。フェンスの中を(よそよそ)見ても?

やっぱり。シ〜〜ン…としてて……。

よく。見えませんでした。


「お姉ちゃあ〜ん?……」って。クララが(すりよって)きたんで。

「いこいこっ。帰るよっ?……」って。

私はクララの手を。強く。ぎゅっ…とひっぱって。歩きだしたら……。


また。その時に。

ポン…ポン…♪…と。

さっきと同じ。ボールかなんかが…(はねる)音が聞こえてきたんです。

やっぱり…校庭からでした。間違いありません。


でもね?

フェンスにそって咲いている。

桜の木が…じゃまして。中が見えなかった。


そーだっ。

正門の前なら。きっと…中が見えるはずっ。

私は。クララと手をにぎり合ったまま。そろ〜っと…正門の前に行って。

大きな扉の横から。

二人で。顔を。(よせよせ)しながら。

「見える?」「見えない?」「ねっ?」「アレ?」…って言いながら。

探検家にみたいに。中を…奥を…校庭のほうを。

二人で。(のぞき)あったんです。


そしたら……‼︎

いましたっ。見ましたっ。

だれ?…だれっ?……誰なのよっ⁉︎


クララ「お姉ちゃあん?…お姉ちゃんっ?」「……女の人お?」

わたし「うん。女の人っ……」


そこには。

間違いなく。校庭の真ん中に。ひとりの…小さな(女の人)がいました。

ほんと。小さな。女の人です。


ボールはサッカーボールでした。

ポン…ポン♪…と。細い足で。じょうずに(リフティング)したり。

ポ〜〜ン♪…と上にけっては。両手で受けたりしてっ。


クララ「お姉ちゃん。見てえ?…(はだし)だよお?」

わたし「うん。はだしはだしっ……」


……と。とと?

その。小さな女の人っ。こっちを見たんです。気づいたんですっ‼︎


わああ‼︎って…なったけど。

妹と二人だし。はなれてるし。

変な時は。走って逃げれば…なんとかなるしっ。

ギリギリ。うん。ギリギリ…いざとなったら?

大きな声を出して…大人を呼ぼーっ‼︎

と…私は。頭の中を。フルフル回転…フル回転して。

クララの手をにぎったのっ。ぎゅううう…っと。


……小さな女の人。とっても綺麗。美人でした。


不思議な感じがありました。

なんて言っていーのか。そのお。うまく言えないけど……。

んぅぅ……う?

人は人なんだけど……。

人形でもないし。なんて説明したらいーのか。その……。


……普通の人じゃないよーなっ?


虹色。七色。空の…三角の虹と。同じ色と模様の長いドレス?…足首までの。

こんな洋服も見たことないし。でもカワイイし。めだつし。

風もないのに。フワフワしてる。金色の髪も…ステキだなあ。


……なんだろう?


不思議な人。美しい人。小さな人でした。

はなれてるから小さいんじゃ…ありません。

大人の女性だと…思うけど。若い女の人っ。

背は小さくてっ。私と同じくらい?…かな?

私も小さいほうで。整列では。三番目か四番目です。

だから……。

私の(まんま)で大人になったんだなあ?…ってこと。かな?


……空の。

……(三角虹)が光った。ように…見えた時でした。


私とクララが感じた不思議さは…もっとハッキリ。

少し。ちょっとだけ。怖いくらいになりました。

その。校庭の(真ん中)に立ってる女の人も。一瞬…チラリと。

その。空の。光ったような(三角虹)を見て。

そして。こっちを見たんですっ。


……ちょっと。こわかった。


だって。その。女の人の目が。キラっと。赤く光ったからっ。

夜の車の赤い光のように。赤く光ったから。

ほんとだよお?

だから怖くなって。そこにいちゃ。マズイと思って。

「帰るよっ⁉︎」…って。少し(キツめ)に言ってから。

わたし。クララの手を。強く…ひっぱったんです。

でも…クララが。


クララ「お姉ちゃあん?」「……呼んでるよっ?…ほら?」

わたし「え?」「なにっ?」

クララ「あの人っ……」「ほら?…呼んでるって。ほらっ?」


……うそじゃなかった。


その女の人。

こっちこっちって。来て来てって。

右手を上下にふって…さそってるんです。

赤い目をして……。


行くわけがありません。あたりまえです。

小さな女の人でも。やっぱり…怖いです。

でも……。

あいたんですっ‼︎……扉がっ‼︎

正門の重い扉が。ギギィ〜〜ッ…って。

自動で。ひとりでに。あいたんですっ‼︎


……あいたらっ?


うん。入るしかありません。はいりますっ。

少し怖さもあったけど。毎日かよう学校です…いつもの校舎です。

こんな不思議な体験…めったにない。

友達も親も知らないし。

妹と二人っきりの…秘密の冒険でした。


「よしっ。行っちゃえっ」…と。

私は何かで引っぱられるように……。

クララと手をつないで入っていきました。

校庭の(真ん中)にいる。その。赤い目をした女の人の…近くまで。

クララは不安がってね?

私にピッタリ。はなれようとは…しませんでした。


その時…何時だろう?

もう。(三角虹)は…消えていました。


桜が咲いても。春の午後は早くって……。

ちょっとだけ。夕暮れが…夕焼けが。

ちょっとだけ。オレンジ色に。うすく…(そまって)いました。

もう。ほんとに。そろそろ帰らないと…カミナリが落ちる。パパのカミナリっ。


……でも。


目の前の。赤い目をした。魅力的な人のチカラに引っぱられて……。

一歩も。動けなくなっていました。


なあに?なんなの?…不思議な感覚でした。

もちろん。怖さは少し。しょうじき。まだ…ありました。

けど。けっこう…近くまで行ったらね?

そんなに(悪い人)には見えなくて。

逆に。この人に。もっと……。

不思議な魅力を強く感じてる…自分に気づいてきて……。


これから先も…会えるような?

会えれば…うれしいような?


なんか。なんだろう。なんか。何かが…おこるような?

怖さじゃなくてね。宝物のような出来事に…出会えるような?

私の毎日に…宝物が見つかるような?


そんな。わくわくに近い。不思議な感覚がありました。

クララも…たぶん。そんな感じを受けてたと…思います。


……そして。それが。現実になりました。

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