【ASMR】幼馴染彼女と過ごすある日
来栖シュウ
第1話 幼馴染彼女と過ごすある日の深夜①
(真っ暗な部屋。カチャカチャとコントローラーを操作する音と扇風機の音)
「やっぱりこっちの方がいいかな。いや、こっちを育てるべきか……。むむむ」
(衣擦れの音)
「ん? あ、ごめん。起こしちゃった?」
「今? えっと深夜の1時」
「まず、夕方から二人で課題やったじゃん? そう、0時までに提出のやつ」
「そのあと、晩御飯食べながら二人でだらだらしてたら、そのままいつの間にか寝落ちしてて……」
「私はさっき起きて、二度寝しようと思ったけど全然眠くないからゲームでもやろっかなーって さすがに起こすの申し訳なかったしね」
「このゲーム? えっとね、最近発売された異世界から来た女の子をアイドルとしてプロデュースするゲーム」
「例えばこの子は……あ、もう起きたからゲームの音出していいよね」
(ゲームのBGMとSE)
(彼女が真横に座る)
「まずこの金髪の子が天使。性格的にも正統派アイドルって感じのキャラだね。その横の銀髪の子が悪魔。身長も低くていたずらっ子だからメスガキって言えば分かるよね。あとは……」
「そうそう。私の推しはこの子ね。エルフの女の子なんだけど、森の奥の里で優しい人に囲まれて育ってきたから人を疑うことを知らないっていう、悪い人から守りたくなる庇護欲を掻き立ててくるキャラなの。ビジュも金髪で頭に花飾りをしてるのがポイントで、白とピンクを基調とした衣装がほんっっとうに可愛いの!」
「で、どの女の子がタイプ? あ、同担拒否なのでこの子以外ね!」
「あーやっぱり? プレイしてるときにビジュ好きそうだなーとは思ってたんだよね」
「そりゃ分かるよ。いったい何年来の付き合いだと思ってんの?」
「てかやっぱりこういう見た目の子が好みなんだ? 髪型とか似せてあげようか?」
「今のままでいいの? まあ現実と二次元じゃ好みも違うか」
「よしっ、じゃあ今度はあんたの選んだ子をプロデュースするかな。今度時間あるときに一気にやろうよ」
「うん。約束ね」
「よし、ゲームはおしまい! ゲームは一人でもできるんだし、二人でできることしたいよね」
「例えば? うーん……トランプとか? って修学旅行か」
「それよりお腹空いたかも。なにかお菓子ちょーだいっ!」
「え、無いの? ……なにも? まじか」
(フローリングの上を素足で歩く音)
「冷蔵庫開けてもいい? いいよねー」
(冷蔵庫の扉を開けて物色する)
「うわ、冷蔵庫の中、水とお茶ばっかじゃん。アスリート? アスリートになろうとしてる?」
「おっ、奥の方になんかあるじゃん! これは……駄目だ賞味期限切れてる。食べないで腐らせるくらいなら私にくれればいいのに」
「あ、調味料も賞味期限切れてんじゃん。分かる。分かるなあ。ワサビ、豆板醤、甜麺醤、黒酢に寿司酢……そして焼き肉のたれ。分かる。使う機会少ないよね」
(キッチンから戻り、ベッドの隣に腰を掛ける)
「何も無かった。自炊してんじゃないの? もう止めたん?」
「明日いろいろ買い足す予定だったんだ。納得」
「でもさー、このままじゃ私の空腹は満たされませんよ」
(目の前のティッシュ箱を手に取る)
「……いやティッシュは食えないか。これ安い奴だし」
「よし決めた! コンビニ行こ!」
「……なにその面倒くさそうな顔。いいじゃん行こうよコンビニデート」
「『ひとりで行け』って、私が深夜に怪しい男に襲われたらどうするの? 事件にでもなったら一生悔いても悔やみきれないでしょ」
「家に押し掛ける報道陣の前で『あの時、俺が一緒に行ってあげればっ……! うう……』ってなるよ。絶対」
「てなわけでほら、着替えて着替えて! 十秒で支度してね~!」
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