明日には虹が咲く

若福品作

第1話 楽しみだね

登場人物


山西やまにし太希たいき

性別:男

年齢:24

身長:178


神川かみがわ水樹みずき

性別:女

年齢:24

身長:162





「まずは~。どこか出かける時は私に1声かける事。次に寝る前には優しいキスをする事。次に朝起きたら優しくハグする事。次に…」


「おいおい。まだあるのか?」


そう太希たいきが口をはさむと電話相手である水樹みずきは少し不機嫌そうな態度をとる。


「あと2つだから、黙って聞く。」


そう水樹が母親口調で言葉を返すと太希はしぶしぶ口を閉じる。


「じゃ、残り2つ言うわよ。

1つは週に1回は私と2人で出かける事。

そして最後は毎日1回は私の事を好きと言う事。これが“同棲”する時に太希君にやってほしい私のお願いよ。そちらは何かある?」


そう聞かれて太希は少し考えるがとくになかったので「ない」と答える。


「よし。じゃ、同棲前のミーティングはこれで終わり。明日からの同棲、楽しみだね。」


そう言う水樹の声は子供の様にワクワクしているのが分かるほどのものだった。


そんな嬉しそうな彼女の声に太希も嬉しくなる。


「あぁ。そうだな。」



ー次の日ー


「水樹。太希君が迎えにきてくれたわよ。」


そう母親が水樹に声をかける。


「こっちも準備はOK。」


そう言うと水樹は最低限必要な物が入った大きなかばんを持ち上げる。


そして、そのまま母親と一緒に階段を下りる。そこには父親と一緒に居る太希の姿があった。


そんな太希に水樹は勢いよく抱きつく。


「迎えにきてくれてありがとう。」


そう満面の笑みで水樹は太希にお礼を言う。


「じゃ、太希君。娘の事をお願いするよ。」


そう父親が太希に声をかける。


「はい。」


そう太希は答えると水樹が持っている大きな鞄を持ってあげる。


「じゃ、お母さん、お父さん、またね。たまには顔を見せに来るからさ。」


そう明るく言うと水樹は太希の手を引っ張って家を出る。


2人残された父親と母親は少し寂しそうに肩を寄せ合う。



「意外に荷物、少ないんだな。」


そう太希は持っている鞄を見つめながら言う。


「最低限の物だけだから。

残りは買いに行けばいいしね。」


そう水樹が明るい声で答えると明るさをそのままに続ける。


「っと言う事でその鞄を太希君の家に置いたら、買い物に出かけるわよ~。」


そう水樹は太希と手を繋いでいる右手とは逆の左手を大きく挙げる。


そんな風に嬉しそうにしている水樹の横顔を太希は盗み見る。


すると急に目線をこちらに向けてきた水樹と目が合う。


「なんだ?なんだ?ノリが悪いぞ~。

ここはおーって言って手を挙げるとこでしょ?」


そう水樹が少し不機嫌そうにほっぺたを膨らませて文句を言う。


そんな水樹に軽く微笑むと太希は「お~」と言って鞄を持った右手を少し挙げる。



大きな鞄を家に置いた太希と水樹はそのまますぐに買い物に出かけた。


「で?どこに行くんだ?」


そう太希が水樹に尋ねる。


「まずは服屋かな。持ってきた服じゃ全然たりないし。」


そう水樹は答える。


「りょ~かい。」


そう太希は返事を返す。


その後、太希と水樹は服屋以外にも色んなお店に行った。それはもう買い物と言うよりもデートに近かった。


幸せな時間…この時間がいつまでも続くと2人は信じていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る