第32話 母の許可とメンバー
興味が出来たら真っ直ぐに突き進む。
アラタ王国の未来を担う宇宙船開発。
そのために、僕は女王である母上に直談判することに決めた。
これまでも魔導ロボットの開発を成功させてきたが、宇宙船という新たな挑戦には、さらなる許可と支援が必要だった。
母上は優れた指導者であり、アラタを繁栄させるための判断に長けている。
だが、それでも宇宙船というプロジェクトが持つスケールの大きさを考えると、慎重な許可が求められることは分かっていた。
王宮の執務室で、母は書類に目を通していた。僕が扉を開けて入ると、母はすぐに僕に気づき、穏やかな微笑を浮かべた。
「どうしたの、カイ?」
「母上! お願いがあるんです!?」
「ふふ、あなたがそういう顔をするときは何か思いついた時よね」
「えっ?」
「また新しいアイデアでも思いついたのかしら?」
母上の問いかけに、僕は頷き、これからの計画について話し始めた。
「母上、今度は宇宙船を作りたいんです! 魔導ロボットの開発で培った技術を活かして、もっとアラタ王国の未来を守る力を強化したいと戦争を行って思いました。宇宙船があれば、アラタを他国から守るだけでなく、星々との交流を進めることもできるはずだ」
母上は一瞬、僕の提案に驚いたようだったが、すぐに真剣な表情になり、僕の話に耳を傾けた。
「宇宙船ね。また大規模な物に興味を持ったのね。確かに、新たな宇宙船をあなたが開発すれば、面白いと思うわ。強固な防衛力を持つことになるわね。でも、これまでの魔導ロボット開発とはまた別の課題が出てくるわよ。技術的にも財政的にも、相当な資源が必要になる。大丈夫なの?」
母上が問いかけたのは、技術的なことで言えば、これまでとは別の知識がいることだ。そして、財政面は、魔導ロボットよりもさらに資金が必要になる。
「僕には、優秀な仲間たちがいるよ。リンやミカ、それにパイロットたちも協力してくれてる。さらに、もっと強力な助っ人が必要だと思ってるんだ」
僕は、これまで一緒に戦ってきた仲間たちに加え、今後の宇宙船開発に関わる重要なメンバーとして、シオンやクレア、さらにはオリヴィアを提案した。
彼女たちはそれぞれに優れた技術や経験を持っており、宇宙船開発に大きな力を与えてくれるはずだ。
「艦長を務めてくれたシオンや副艦長のクレア、そしてオリヴィアも加えたい。彼女たちはそれぞれ、戦場での経験や指揮能力に優れているし、技術的にも僕をサポートしてくれる」
母はしばらく考え込んだ後、微かに笑いながら答えた。
「なるほど、確かにシオンとクレア、それにオリヴィアは頼りになるわね。特にシオンは冷静な指揮官として、あなたにとっても貴重な助言をしてくれるでしょうし、クレアも明るくて活発な性格で、艦内の士気を高める役割を果たすでしょう。オリヴィアも…まあ、あの子は少し扱いが難しいけれど、確かに優秀よ」
母上の返答に、僕は安堵した。女王の承認を得ることができたのは、大きな前進だった。
「資金も、オリヴィアが持ち込んだ賠償金があるから、もしかしてオリヴィアはそんなことも見越していたんのかしら?」
「えっ?」
「いいえ、なんでもないわ。カイ、許可します! あなたの宇宙船開発を全力で支援するわ。ただし、失敗は許されないわよ。アラタ王国の未来がかかっているんだからね」
母上の言葉には重みがあったが、僕はしっかりと頷いた。
「ありがとう、母上。必ず成功させてみせるよ」
母上からの許可を得た後、僕はすぐにシオン、クレア、オリヴィアに声をかけた。
彼女たちはすぐに僕の宇宙船開発計画に興味を示し、加わることを快諾してくれた。
まずはシオン・ツクヨミ。
彼女はこれまで艦長として冷静沈着な指揮を発揮してくれた。今回もまた、彼女の論理的な思考と戦術的な判断力が必要になるだろう。
「カイ様、宇宙船開発という大きなプロジェクトに参加できるのは光栄です。私も全力でサポートします。まずは、宇宙船の設計において、航行時の安定性と防御力を強化する必要がありますね」
シオンはいつも通り冷静で、的確な意見を述べてくれた。
彼女の存在は、今回のプロジェクトにおいても大きな力となるだろう。
次にクレア・カンザキ。
彼女は副艦長としてシオンを支えてきたが、今回は宇宙船の運用や戦術についてアドバイスをくれる。
「カイ様、これは面白くなりそうですね! 宇宙船の操縦については私に任せてください。艦内の動きや、クルーの調整もバッチリですから」
クレアはいつも明るく、艦内のムードメーカーだ。彼女の存在は、プロジェクト全体の士気を高めるだけでなく、戦術的な助言も与えてくれるだろう。
そして最後に、オリヴィアだ。
彼女は戦犯として捕らえられたが、その後、僕が彼女を受け入れたことで、今やアラタ王国に貢献しようとしている。
「カイ王子、宇宙船開発に私も参加させていただけるのね。ありがとう。私もヴァンガード王国で得た知識を全て注ぎ込みます。今回の戦いを通じて、あなたの技術力に驚かされたわ。だからこそ、このプロジェクトでもあなたに協力したい」
オリヴィアは誇り高く、それでも僕に対して忠誠を誓う姿勢を見せてくれた。彼女の戦闘経験や指揮能力は宇宙船開発においても重要な要素となるはずだ。
こうして、シオン、クレア、オリヴィアが加わり、僕の陣営は大幅に強化された。リンやミカも含めて、アラタの最強のチームが揃い、宇宙船開発に向けて本格的に動き出した。
「皆が揃ったな。これからは、アラタ王国の未来を守るために、宇宙船を作り上げるぞ」
僕は彼女たちに向かって声をかけた。彼女たちはそれぞれに頷き、やる気に満ちた表情を見せた。アラタ王国の未来を背負うこのプロジェクトに、全力で挑んでいく覚悟を決めたのだ。
これからの道のりは長いだろう。だが、僕には信頼できる仲間たちがいる。このチームならば、きっと成功を掴むことができるはずだ。
「さあ、次は宇宙船を作り上げるんだ!」
僕はその言葉を胸に刻み、再び新たな挑戦へと足を踏み出した。
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