迷宮最深部に異世界転生された俺は悪魔の力で無双する

国米

第1話:眩暈

「また終電で帰宅かあ・・・。なんでこんなに働かないといけないんだろう・・・。」

俺こと、真中 理人(まなか りひと)35歳は夜道を愚痴りながら家への帰路を急いでいた。

毎日終電まで残業し、休日出勤もしてほとんど休めない毎日。

当然すべてサービス残業、もらえるのは既定の安月給のみで生活するのがやっとで、楽しみもない。

もちろん、その事を上司に訴えたが、


「私は残業しろとは強制はしていない、与えた仕事を期限内にしろと言っているだけだ。できないのは君の要領が悪いだけだろう?文句を言う前に仕事を効率的に終わらす努力をしなさい。」


と言って聞く耳を持たない。

色々と反論したいが、契約社員の俺は簡単に契約更新を打ち切られる。

若くない俺は今の状況にしがみつくしかないのだ。


「とはいえ、若い頃と違って深夜まで残業はきついなあ・・・。早く帰って寝よう。」


少しでも休みたい気持ちから早歩きした途端、突然眩暈がして道に倒れ込んだ。

視界が歪み、体の自由もきかない。


(どうしたんだ、俺の体・・・。)


体に同調するように思考も鈍くなり、そのまま闇の中に消えていった。


◇・◇・◇


目を覚ますと白い天井が視界に映った。

周りを見ようと首を動かそうとするが、まるで動かない。

それどころか体自体が全く動かない。

ただ自分が仰向けに寝ており、体の各部に何かしらの器具が付けられている感覚があるので死後の世界ではないらしい。


(まさか植物人間になってしまったのか?)


恐怖が俺の全身を駆け巡る。

聞いた事はあるが、自分がそうなるとは思ってもみなかった。

その時視界に白衣の男が映った。


「目が覚めたかい?今君は恐怖を感じているだろうが、大丈夫だよ。」


髪に白髪が混じった初老の男が優しい口調で話しかけてきた。

おそらくは医者なのだろう。

大丈夫という事は、治るという事なのだろうか?


「君は今から人生をやり直すんだ。新たな世界でね。」


だが彼の言うことは俺の予想を大きく超えていた。


(・・・この人はいったい何をいっているんだ?)


彼の言っている事がまったく理解できなかった。


「さて、時間だ。休みなさい。」


俺は酷く眠くなり、意識が途絶えた。


















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