四季の宝石を取り戻せ!~季節がこの世界から消えたなら~

石川 円花

第一話 季節の終わり

 私、火花夏希ひばななつき!今日から中学一年生!皆からは明るい性格だっ、て言われるよ。運動が得意!


――ピピッ。


 朝のアラームが鳴って、私はネムネムしながら起き上がる。

 えっ、六時五十分!?そうだった、中学生になったらお母さんに起こしてもらえないんだった。登校は……七時!寝坊しちゃった!急がないと、と焦りながら私は階段を駆け下りる。


「あれっ、お母さん!?」


 お母さんは窓の外を見つめて、立っている。いつもなら朝ご飯を作ってニコニコしてるのに。

 私は息を詰まらせながら、お母さんに近づいた。

 すると、空が……真っ暗。

 えっ、今は……六時五十分で間違えてない。朝なのに何で?どういうこと?

 つけっぱなしのテレビからは、こんな声が聞こえた。


「緊急事態です!地球全体から季節が無くなってしまい、外はまるで夜のように真っ暗な状態になってしまいました!ただいま環境省などが調査しています」

「えっ、えっ、え―――――!?どういうこと!?」



 ❀☀☽☃❀☀☽☃



 学校の入学式は延期。私は家で過ごすことになった。

 あ~つまらないよ―――!

 そもそも季節が無くなる、なんてあり得ない。ということわざがピッタリ!牛タンはタレ派だからごまは出てきてほしくないなぁ。


「仕事も無くなったわ、すごい事態ね」


 お母さん、火花舞ひばなまいは眉を下げる。異常事態だから仕事もお休み。

 私のお父さんは、季節の変わり目で体調を崩してしまい、今はお母さんだけが私の家族。

 季節が無くなっても太陽は一応出ているけど明るさは全く無く、世界中が混乱中!どうして季節が無くなっちゃったんだろう。不思議だなと思い首をかしげる。


「ちょっと、お散歩行ってくるね」

「……えっ、夏希、危ないよ?」


 大丈夫だよ、と答えて私は防犯ブザーと持たされて家を出た。

 ふわ~、昼なのに真っ暗だから眠くなっちゃいそうだな……。パッとライトをつけると、道路が照らされる。

 すると、タタタッと小さな生物が歩いて行った。何が歩いて行ったんだろう。

 私は首をかしげながら道路の端を照らした。

 私は目を大きくする。

 木が枯れてる!昨日までは桜がきれいに咲いていたのに茶色に焦げちゃったみたい。

 どうして!?こんな姿になっちゃったのは何でだろう?

 学校の授業で習ったかな?こんな現象あったっけ?

 

――ピッピッ……ピッ


 あっ、ウグイスかな?鳥の鳴き声がした。でも、すぐに鳴き声が収まる。

 いつもならもっとうる……大きい音がするのになぁ、不思議。

 今日が季節が無くなった最初の日、これから私はどうするんだろう?

 私の生活は季節が無くなったことで、変わったんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る