悪魔の囁き
あのね!
第1話 豊は人生最後の目標麗香を追うが、その先には…
私は教職者として40年余り勤め上げ昨年退職した畑中豊66歳。こんな私だが、人並みにそれなりの地位に登り詰める事も出来て、最終的に校長職を10年勤め上げ教員生活とはピリオドを打った。
妻とは赴任先の学校で知り合い教員同士で結ばれたが、誠に残念なことに妻は、子宮頸がんで、昨年私の退職を見届けるかのように亡くなってしまった。
今尚妻を思うと無念が込み上げ居ても立っても居られないほど苦しいが、いつまでも過去に囚われて居ても始まらない。
私の人生これといった最悪の状況に陥った事はなかったが、強いて言えば妻がまだまだやりたい事は山ほど有ったにも拘わらず、若くして亡くなった事が今尚無念で仕方がない。
そんな時に家庭を持った事ですっかり忘れかけていたが、衝撃的な事件、片時も忘れた事がなかった麗香の足取りを人生最後の仕事にしようと考えた。
そうなのだ。人生最後の大仕事、人生に何か思い残す事があるとすれば、小学校の時の全校一の美少女田所麗香が突如皆の前から姿を消してしまった事が一番気掛かりなのだ。
(あんなに輝いていた君が何故突然皆の前から消えなければいけなかったんだい?もう一度皆の憧れ😍💓💓麗香に会いたい。どうして君は皆の前からある日突然消えたんだい?何が真実で何が嘘だったのか?どうしても知りたい。君に何が有ったんだい?)
★☆
葛飾区新小岩駅南口エリアや亀有駅の南側は比較的治安が悪く、同級生等は親から「ガラが悪いからあの地域には行くな!」と言われていた。
当時男子生徒の憧れ😍💓💓のマドンナだった田所麗香は、全校生徒1000人以上いたマンモス小学校だったにも拘らず、そんなマンモス校で有りながらも転校してわずか1年も経たない小学4年生の頃には、大塚小学校全員が知っているほど光り輝く美少女だった。
田所麗香はその当時祖父母と生活をしていたと聞いている。何でも両親は海外旅行中に不慮の事故に遭い亡くなったので、祖父母に引き取られる事になったらしい。
まあハッキリしたことは分からないが?
そして…何と麗香の祖父は日本有数の家電メ―カ―「西沖電気」の社長さんらしい。1980年代~1990年代にかけて家電は日本が売り上げ高世界ランキング1、2、3位を度々独占していた。まさしく家電と言えば日本だった輝かしい時代があった。そんな日本有数の家電メ―カ―「西沖電気」の社長のお孫さんともなれば相当のお金持ち。
お金持ちのお嬢様で文京区大塚小学校一の美少女麗香は、あの頃校内で知らない者がいないほどの有名人だった。
同級生の麗香は天使が舞い降りるかのように、ある日突然我々の前に強烈なインパクトを植え付け現れ、突然消えてしまった。
君が我々の前に現れたのは…あれは確か、小学3年生の夏休み明けだった。君は我々の前に突如として現れた。それは何ともセンセ―ショナルだった。
浅黒い小麦色の肌と、くっきりとした西洋とアジアが混在した瑠璃色の瞳は情熱的な光を放ち、顔が小顔でメッチャ小さくて同級生と並ぶと歴然だ。更に淡いブラウン色の長い髪にワンピースから覗く浅黒い長い素足がすらりと伸びた…日本人ではなく…どこか異国の地から現れたようなエキゾチックな少女だった。
そう麗香は両親が突然の事故で亡くなったので、この文京区の大塚小学校に転校して来た。
こうして麗香とは、付かず離れず付き合って行く事になるのだが、麗香の周りでは思いも寄らない不幸の連鎖が巻き起こっていた。
★☆
やがて…時は流れ高校生の頃思いも寄らない麗香を発見した。
屈指の進学校に通っていた私は本当は、父の仕事会計士を継ぐつもりで塾通いをしていた。
そんなある日思いも寄らない現状にぶち当たった。あの皆の憧れのマドンナを葛飾区新小岩駅南口エリアで見掛けた。
(あんなお嬢様が何故こんな所にいるのだろう?)
そんな時に到底日本人とは思えない、アジア系の女、それも品の欠片もない場末の身を持ち崩したような女と一軒の店に消えた。
だが、跡を付けたがその店に辿り付く事は出来なかった。
いつもはお嬢様然とした麗香とは、全く別人のあの意味深な表情は何を意味しているのか?
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