狂獣網

@dadairu

第1話 狂獣

「はぁ…ほんとすることねーな」

「学校早く終わるって聞いたら

舞い上がるけどさ、結局することない

ならあんまり嬉しくないよな」

(わかる)

と、全く面識のない人達の会話に

共感しながら靴を履き校門へ向かう。

「帰ってなにしようかな…昨日観てた

アニメの続き観るのもいいし、夜まで寝ちゃおうかな。今日は金曜日だから最悪夜寝れなくなっても平気だしなぁ」

「おい!!」

突然後ろから大声で呼ばれ振り向くと

そこには高校で知り合い友達に

なった和斗がいた。

「急に大声出すなよ、ビックリするだろ。」

「お前こそ1人でブツブツ気持ちわりぃぞ」

「え、嘘。声出てた?」

「うん、大丈夫かお前」


なんて平和な会話を交わしながら

門を出る。

「なぁ昂輝、俺竹内達とゲーセン行くんだけどお前来るか?」

「あーわりぃ、今日全然寝てなくて眠いから帰って寝るわ」

「またアニメ観てたな?夜更かしは

程々にしてろよな」

「おう、じゃあな」

そのまま和斗とは別れ家へ直進。

途中でスマホを手に取りニュースを見た。

「今日学校が早く終わったのはこいつ

のせいか」

1番上の記事に乗っていた内容が目に留まる。

《熊本県熊本市北区に狂獣出没。

レベルは推定2。周辺の市民はなるべく安全性の高い建物へ避難してください。》

俺のいる区だ。でもそこまで心配はしてない。なぜならレベルが2だからだ。

狂獣は個体によって強さが違う。

その強さを数値化したのがレベルだ。

レベルは今のところ最大10まであって

2は車で轢けば確実に殺せる程度だから

一般市民でも駆除できる大したことのない

個体だ。だから俺みたいな高校生でも

走れば逃げれるし最悪真正面から

戦ってもバットや包丁なんかあれば勝てたり

する。

(こんなやつ相手に避難推奨だなんて

過去にあった大事件が関係してるのかな)


狂獣市滅事件

今から約18年前に起きた

狂獣による大事件。

ある1匹の狂獣(レベル3)が2度目の

突然変異によってレベル10まで進化し、

俺の住むこの熊本市とその周辺の市を襲い、

約6万人もの死傷者が出た。

そいつが現れるまでの最高レベルは

9だった為、見事新記録を叩き出した

個体というわけだ。

まぁそれから18年も経ったのに

2度目の突然変異をした狂獣なんてのは出てないし本当に奇跡的な確率で現れたんだろう。仮にそんな奴がまた現れたとして避難したくらいじゃ助かったりしないし意味ないな。

さっさと帰って寝よう。


「だっ、だれかぁぁあ!!」


!?

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