第40話 大人の関係を築くということ【♡?有】
ドアを開けて部屋の中へ招き入れたのはいいが、頭の中が真っ白になってどうしようと戸惑ってしまった。
「絋さんの部屋、本当にシンプルですね。パソコンとベッドしかない。あと人をダメにしちゃうクッション」
「仕事に集中したい時しかいないからね、この部屋は。一緒にクッションに座る? 一人用だけど」
人をダメにするビーズクッションで杏樹さんを抱き締めながらイチャイチャするのも美味しいシチュエーションだと思ったのだが、彼女はフルフルと顔を振ってベッドの中へと入っていった。
「私はこっちの方が落ち着くから。絋さんも一緒に入りましょう?」
久しぶりにシングルベッドでの添い寝。
一階のゲストルームはセミダブルだったので広々と使えたのだが、この狭い感じは懐かしい。杏樹さんと出会ったばかりの時は、この距離で寝ていたんだと思うと感慨深くなった。
「——って、待って! 違う! 話し合いをする為に二階に上がったんだって!」
「え? エッチをする為に上がったんじゃないんですか?」
「んなわけないって……! あぁー……これって絶対に崇達も勘違いしてるよな。恥ずい」
両手で顔を覆った俺を杏樹さんは、慰めるようにヨシヨシと頭を撫でてきた。
良い子なんだよな、少しズレているけど。
そんなところが堪らなく好きなんだよ。危なっかしい世間知らずな感じも、無垢で無鉄砲な行動も、真っ直ぐで純粋なところも。
他の人には渡したくないし、俺だけのモノにしたい。
でもその反面、俺が傷つけることも恐れていて。
真っ白な肌に紅い痕を残すことにも抵抗を覚えてしまう。
「……シないんですか? 絋さん」
「シたいけど……めちゃくちゃシたいけど——!」
腕枕の体勢ですぐ隣の彼女と見つめ合って、少しずつ距離を縮めていった。
鼻頭を合わせて、そのまま擦り合わせるように唇を掠めて、ピッタリと重ね始めた。唇が動く度に身体が高揚して、相手の体温、柔らかさを求めてしまう。
「ん……っ、はァ、ハァ……絋さん、好き」
指と指を絡ませる。付け根の辺りでクニクニと指を動かして、ビクビクする彼女の反応を愉しむ。
「もっと言って。杏樹さん、俺のこと好きだって」
「うん……、好き、大好き。絋さん……もっとギュッとして?」
「俺も好き。愛してる……もう二度と離したくない」
求め縋る身体にビクっと反応を示してしまう。
この快感は中毒性があり過ぎて困ってしまう。溺れたら簡単に手放せなくなる。
一息ついた時には、熱を帯びた吐息を吐きながら、甘ったるい潤んだ瞳で見つめているから、再び貪ってしまうんだ。
「……ダメだ。ヤリたくなるけど、ダメだ」
「………?」
必死に耐えながら堪えていると、杏樹さんが不思議そうな顔で覗き込んできた。
「ダメって、何がですか……?」
ここまでしておいて「今更?」って突っ込まれると思うのだが、言わないといけないだろう。
俺は身体を起こし、正座をして気持ちを正した。
「あの、杏樹さん。大変申し訳ないんですが、これ以上の関係はもう少し待ってもらえませんか?」
あり得ない言葉に流石の杏樹さんも固まって「……え?」と引き気味に聞き返してきた。
「付き合ったのに? やっと恋人同士になったのに、お預けってことですか?」
そうだよねー! うん、杏樹さんもお怒りもごもっともだと思います。
だが、俺は逆に聞きたい。
「杏樹さんは、セックスってどうやってするか分かってるん?」
「………え?」
俺の質問に改めて固まった。しばらくフリーズしたかと思ったら、今度は真っ赤に顔を染めてワナワナと震え始めた。
「ど、どうやってするかくらいは分かってますよ? その、男性のアレを、女性のアソコに入れて……気持ちよくなることです」
あれ、俺……もしかしてスゲェこと聞いてる?
恥じらう彼女を見て、顔がニヤけて止まらない。
「うん、そう。個人差はあるけど、快感だけじゃなくて痛みも伴う行為なんだ。特に初めての女性にとっては。これは俺のワガママなんだけど、杏樹さんに初めては……最高の行為にしたいんだ」
それって、具体的にどうすればいいのか分からないと返されるだろう。
「もちろん、その為には俺の力量が試されるだろうし、俺だけじゃどうしようもないこともある。つまり俺が言いたいのはその……!」
「でも、それでも私は——絋さんともっと恋人らしいことをしたいです。他の人達がしているようなことを、私もしたいのに……」
唇を尖らせて拗ねる様子は、グッと胸を締め付ける。
しかしだ、ここは心を鬼にしなければ……!
「んじゃ、杏樹さん……。セックスって何をするか、一緒に学ぼうか?」
俺は彼女の身体を包むように背後に回ると、そのままスマホの動画を映し始めた。
比較的、行為の過程が分かりやすいエロ動画っだ。
「え? え⁇」
戸惑う彼女を腕で押さえながら、現実を目の前に突きつける。
あまりの羞恥に思わず顔を背けたくなったが、それでも目を逸らさずに見続けた。
「嘘、こんな……? 待って、え? これ、入るの? 私も?」
「杏樹さんは一人でしたことあるん? 胸の方じゃなくて、下の方」
頬を紅潮させたまま唇を噛み締めて、フルフルと横に振った。期待を裏切らない答えに、思わず安堵の息を吐いた。
だが、それだと余計に痛みを伴うだろう。
「杏樹さん、少しだけ恥ずかしいことをさせていい?」
「恥ずかしいこと……?」
彼女の小さな手を掴んで、俺は恥を偲んで股間の辺りを弄らせた。穢れを知らない無垢な手を汚しているようで罪悪感が半端なかったが、知ってもらわなければならない現実だった。
「こ、絋さん……これ」
「——興奮すると、男のってこんなふうに硬く勃って、女の人の中に
彼女はまたしても横に顔を振った。
うん、それでいいんだ。それが正解だ。
「まぁ、時間を掛けてほぐせば出来ないことはないんだけど、俺は……もっと性の知識を知ってから行為に臨んでほしいんだ。もし知って怖くなったら、それでもいいし。知っても尚ヤリたくなったらなったら、その時は一緒にシよう」
——それよりも杏樹さん。
いつまでイチモツを触っているんですか?
気持ち悪いと直ぐに離れると思っていたのに、遠慮がちに触るから余計にムラムラする。
いや、触ってもいいと言ったのは俺だけど、エロ動画を見ながら手で扱かれる状況って何なんだ⁉︎
「あの、絋さん……この動画では男性の大事なところにモザイクが掛かっているじゃないですか? その、私……見たいんですが」
「——え?」
は? 今、何て?
「絋さんの……見て、触らせてください」
確かに性について学んでほしいとは伝えたが、これは何の拷問ですか?
性行為もできないのに彼女に見られて触られるなんて。
羞恥の極まり……。
この勉強会、案外俺の方がキツいのかもしれない。
———……★
「絋さん、色々学びましょう……! 私、頑張ります!」
「頑張らなくていい! うっ、それは……やめてくれ!」
——そろそろR指定の限界を感じます(笑)
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