第35話 ぺろぺろ、チュ……♡ 【♡・流血有】
絋side……★
お風呂から上がった俺達は、リビングで水分補給をしようとソファーに座ってくつろいでいた。
広々としているはずなのにピッタリとくっついて離れない杏樹さん。
そんなに密着されると、さっきの感触を思い出して気持ちが高ぶってしまうのだが?
「あれ? 絋さん……、その腕はどうしたんですか?」
「ん? 腕?」
目開いた杏樹さんの視線の先にあったのは、ダラダラと流血した俺の腕。
しまった、忘れていた! 階段から派手に転げ落ちたんだった。
白いTシャツを真っ赤に染めていく。
ヤバい、ソファーは無事か?
「消毒しなきゃ! うっ、これってパックリいってませんか?」
「いや、大丈夫! こんなん舐めときゃ治る! そもそも怪我してること自体忘れていたくらいだし」
なのに大袈裟に包帯や絆創膏を持ってきて消毒を始めた杏樹さん。心配してくれるのは嬉しいけど、そんなにグルグルに巻かなくてもいいのに。
「よく見たら頬のところとか、他の場所も怪我してる。本当に大丈夫ですか?」
「いい、気にしなくていい! 大したことねぇから!」
杏樹さんはシャツの裾を掴むとガバっと捲り上げて、俺の上半身を露出してきた。あまりにも大胆な行動に思わず「ギャー!」っと大声を上げてしまったほどだ。
「ここ、青痣になってる。もしかして私を探してるときに怪我したんですか?」
「い、いや……、まぁ、そうだけど、たんに俺がドジを踏んだだけだから」
だから杏樹さんが気にする必要はどこにもない。俺が気をつけておけば良かっただけなのだ。だけど杏樹さんは神妙な顔付きで黙り込んだと思ったら、頬の傷に舌を添えてペロペロと舐め出した。
「うっ、な……!」
「ジッとしてください……舐めてたら治るんでしょ?」
確かに言ったけど、それは物の例えで! 本当は舐めても治らない!
そんなことは杏樹さんも分かっているはずなのに、彼女は舐めることを止めようとしなかった。
俺の上に跨って、色んなところに唇を当ててチュウチュウと血を吸うようにキスを続けた。
(何だ、このプレイは……! 吸血? いや、キスプレイ? 浮きがちな腰を掴んで添えてしまいたいけど、流石にそれはアウトだよな?)
だが、お風呂に入っている時はどさくさに紛れてお尻や太腿を拝借したのだが、一歩間違えたら「変態!」と平手打ちを喰らってもおかしくない事案だった。
しかしだ、数センチ先にお風呂上がりの女子高生の柔肌は我慢できるものではない。
晴れて彼氏彼女になったんだから、触ってもいいんじゃないか? 前に彼氏になったら直に触ってもいいって言質ももらっている。
耐えたよな? 俺、十分紳士を貫いたと思う!
柔らかな双丘まで触れる寸前ってところで杏樹さんの顔が目の前に現れて、幸せそうにほころんだ笑みを浮かべてきた。
「絋さん……私のことを諦めないでくれてありがとうございました。ずっと探してくれてありがとうございます」
言葉を紡いでいた唇が俺の口角に触れた。
——ヤバい、泣きそうだ。
この不器用だけど素直すぎる目の前の女の子が、俺は好きだ。胸元にあった手を背中に回して、細い身体を抱き寄せた。
「当たり前じゃん。俺には杏樹さんが必要なんだから、何処へ行こうと探し続けるよ。ずっと傍にいる。ずっと——愛を伝えるよ」
「言葉だけじゃなくて、全身で……。だって足りない、まだまだ。もっともっと絋さんが欲しい」
唇の間から覗かせた舌がペロっと舐める。
艶美で淫乱で、卑猥な音を二人で紡ぐ。奏でていく。
もう、無理。果てたい——……。
「——杏樹さん、トイレに行かせてくれ。このままじゃ脳内ピンクから抜け出せない」
「え? ん、うん?」
あ、ダメだ、これ分かってないパターンだ。
薄々感じてはいたけれど、この子って性の知識が乏しいよな? 変に馬鹿正直で、エロ動画を見せたらそのまま参考にして実行しそうな危うさがある。
「杏樹さん、俺以外に可愛い顔を見せんでね? 絶対知らない男について行っちゃダメだからな?」
あ、エッチなお姉さんにもついて行ったらダメだ。この子、多分飼われてしまう。人生観を変えられてしまう気がする。
「え、は、はい! 絋さんのことを見ていたらいいってことですよね?」
心酔しきった瞳にハートが浮かんでいることに流石の俺もスルーできなかったが、もう今更だ。全部受け止めよう。この重さも、面倒臭さも。
それが愛だろう、きっとそうだ。
———……★
いつになったら莉子達にざまぁをするんだって? 次回から始めます、はい……m(_ _)m💦
忘れていたんです、絋が歩道橋の階段から落ちてた件をw なので今回は回収回ですw
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