改心の航路

鷹山トシキ

第1話 セレニティ号事件

 バニーマン。悪人を食べることで黒魔術覚える


 2004年、豪華客船「セレニティ号」は、エレガントな内装と共に太平洋を航行していた。乗客たちは、音楽と贅沢な料理を楽しみながら、船上の生活を謳歌していた。音楽プロデューサーの田村英明は、この豪華な環境で過去の自分と向き合い、新たな人生を始めようとしていた。


 ある夜、豪華なディナーの後、田村は昔の友人である岩崎聡の部屋に招かれていた。岩崎は音楽界の大物で、彼の部屋には密室にするための特別な施錠機構が施されていた。その部屋で、岩崎が他の乗客と会話をしている最中、何も不穏な雰囲気はなかった。


 しかし、その夜の終わりには、岩崎聡が密室の中で殺害されていることが発覚した。部屋の中は完全に閉じられており、外から侵入する方法は存在しない。岩崎の死体には「過去の罪と向き合え」というダイイングメッセージが刻まれていた。


 事件の捜査に乗り出したのは、15歳の若き探偵明智龍一。彼の鋭い観察力と分析力はすぐに注目され、田村とともに事件の真相を追い求めることになった。明智龍一は、他の乗客や船員たちから証言を集め、密室のトリックを解明しようとする。


 田村英明を含む数人の乗客が、事件発生時にアリバイを主張していたが、その証言には矛盾があった。特に、列車の故障による遅延のため、一部の乗客は到着が遅れており、その中には岩崎と最後に会ったと言っている者もいた。


 明智龍一は、これらの証言を慎重に検証し、証言の中に隠された嘘や矛盾を突き止める。


 事件の翌日、密室で発見されたはずの岩崎聡の死体が消えてしまっていた。部屋の調査を行った結果、部屋に入るための隠しトンネルが発見され、そこから死体が運び出されたことが判明する。


明智龍一は、死体消失トリックの背後にある意図を探り始め、密室の内部に仕掛けられた隠し機構やトンネルの設計について調査を進める。


 捜査が進む中、明智龍一は田村英明が事件に関与しているという証拠を発見するが、それは誤解であった。実際の真犯人は、田村の旧友であり、彼の過去に対する復讐を果たそうとした人物だった。この人物は、過去に田村と岩崎の間で発生したトラブルを利用して、田村に罪を着せようとしたのだった。


 事件の真相が明らかになり、真犯人が逮捕されると、田村英明は自らの過去と向き合い、心の中で新たな航路を見つける決意をする。明智龍一の助けにより、田村は贖罪の機会を得て、自らの人生を新たに始めることができる。


 豪華客船「セレニティ号」は再び太平洋の青い海を進み、乗客たちはそれぞれの新しいスタートを迎える中、事件の影は次第に薄れていった。

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