消えゆく星と僕らの神話

百瀬三月

第1話

「ああ、消えてしまう。生命の輝きが」

 目の前に見えるある惑星の光景を、宇宙の塵の時から見ていた。

あの青い惑星が、まるで光を放つ恒星のように燃え盛っていた。

実際に意識があるわけではない。

 コンマ数秒の記憶。

 だが、その光景は今も鮮明に脳裏に焼きついている。

それしか過去の記憶はない。

 元は何者でもないのだから。


 数年後、地球は完全に面影がなくなった。

その惑星に、新たな双子の神が誕生した。

名をサイ、ジュノ。

 ここでは、“新たな創造神“とでも言おうか。

地球にとっての新たな創造神の誕生。

 刻々と移り変わっていく地球。

人類史に載ることない、語られることのない、新世界の創造。

 その天地開闢の物語を。




「初めまして。君は何か知ってるかい?」

慣れない感覚。

 意識が朦朧とする中、中性的な声が聞こえてきた。

静寂とする世界の中、静かに目を開けた。

 目の前には永遠の光のように、神々しい純白のローブを着こなした少年が立っていた。

 あたりを見渡すと、暗闇に包まれていた。

自身の下を見ると、四肢がついていた。

「何がだ?」

「強いて言うなら、この世界と僕らが命を受けた理由かな」

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消えゆく星と僕らの神話 百瀬三月 @momosemituki

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