ぬまてつエッセイ I 人は哲学を喜び、そして知る

沼津平成

第1回 この世で一番不幸なことってなにか?

 何人かのあなたが集まって話をしていた。

 この場合の「あなた」は人格のようなもので、あなたはいくつかの性格から成っている、としたとき、その一つ一つの性格は極端になるはずである。(まぁ厳密にいうなら極端に見える人がただその極端な性格しか持っていないというのはあり得ないのだが)

 捻くれ者であるあなたAはこういうかもしれない。「えっ、この世で一番不幸なことかい、そりゃ全てだろう」

 菩薩のようにやさしいBはこう反論するだろうか。「いいえ。この世で一番不幸なことは、なぁにもありません。たまぁに家族がちょっかい出してくることはあっても、一番ではないでしょう?」


 ぼくの多くは上げ足を取るぼくからなっているから、「ぼくC」はこうこたえるだろうぜ、というあなた、続けてみよう。

「そりゃあ……生きてしまったことだろう?」


 さて、この中で一番哲学的な意見は? といっても人々意見が分かれると思うので、やってみよう。


 A君は、全てだと言ってしまってますけど、もしあなた自由に寝れてるなら、寝れませんよ? 自由にねれるのも幸福じゃないか。


 B君の意見は、言っていることはわかりますが……そんな程度の悪いことしか起こらず死んだ場合、じゃあその少し悪いことが一番不幸なことになってしまうから、「何もない。」というのは違うだろう。


 残ったC君の意見は有名哲学者とどっこい並みにこの世の真実を理解していると思う。的をいているのである。「すげぇ——!」 と沼津平成は思った。


            *

            「まとめ」

 全てが不幸でも、全てが幸でもない。幸であったり不幸であったりする、人生に生まれてきたこそが、不幸なのではないか?

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