第41話「帰還への希望と迫りくる敵」
カヨたちは、神殿で「帰還」の鍵となるクリスタルを見つけたが、それを完全に使いこなすためには、もう一つの試練を乗り越えなければならないことを知った。しかし、その試練に挑む前に、彼らはさらに大きな敵に直面することになる。
カヨがクリスタルを手にした瞬間、神殿の中に不穏な気配が広がった。大地が揺れ、暗闇の中から巨大なモンスターが現れた。それは、クリスタルの力を封じるために送り込まれた守護者――シャドウドラゴンだった。その姿は黒い鱗に覆われ、周囲の光を吸い込むような圧倒的な存在感を放っていた。
「またドラゴンか…このままでは、元の世界に帰るどころか、ここで終わってしまう…!」
広瀬が緊張した声で言うと、カヨが冷静に彼女を見つめ、決意を固めた。
「広瀬、私たちがここで倒れるわけにはいかないわ。このドラゴンを倒して、必ず元の世界に帰る方法を手に入れるのよ!」
全員が武器を構え、シャドウドラゴンに立ち向かう準備を整えた。アイリスが風を操り、周囲の闇を払いながら、リリアが矢を放った。しかし、シャドウドラゴンはその矢を簡単に弾き返し、巨大な翼を広げてカヨたちに襲いかかってきた。
「こいつ…私たちの全力を試そうとしているわね!」
カヨは聖なる剣を手に取り、シャドウドラゴンの攻撃を受け止めながら反撃を開始した。剣が放つ光が、闇の中で一筋の希望を照らし出すように輝いていた。
一方で、クリスタルが放つ光がカヨたちを包み込み、彼らの心に元の世界への道筋を示していた。しかし、その道筋が明確になるにつれて、シャドウドラゴンの攻撃も激しさを増していった。まるで、カヨたちが帰還の道を見つけるのを阻止しようとしているかのようだった。
「私たちが帰るためには、このドラゴンを倒さなければならないんですね…!」
広瀬が敬意を込めてカヨに声をかけ、カヨが力強く頷いた。
「そうよ、広瀬。このドラゴンを倒すことが、私たちの帰還の鍵になるはず。私たちは負けない!」
リリアが再び弓を引き、アイリスが風の力を最大限に発揮してドラゴンの動きを封じ込めようとした。レオンは剣を構え、カヨと共にシャドウドラゴンの前線で戦いを繰り広げた。
「今がチャンスよ、全員で一気に攻め込むわ!」
カヨの合図で、全員が力を合わせてシャドウドラゴンに猛攻を仕掛けた。広瀬が援護射撃を加え、リリアの矢がドラゴンの目を狙い撃つ。アイリスの風がドラゴンの動きを封じ、レオンが剣で致命的な一撃を加えた。
「これで終わりよ…!」
カヨが聖なる剣に全ての力を込め、シャドウドラゴンの心臓部へと突き刺した。その瞬間、ドラゴンは最後の咆哮を上げ、闇に包まれて消滅した。
勝利の余韻に浸る間もなく、カヨたちはクリスタルが光を放ち始めたことに気づいた。クリスタルは、元の世界に帰るための儀式の準備が整ったことを告げていた。しかし、その儀式には、カヨと広瀬が再び試練に挑まなければならないという条件が付いていた。
「私たちはやり遂げたけど、まだ帰れるかどうかはわからないわね…」
カヨがクリスタルを見つめながら呟くと、広瀬が慎重に言葉を紡いだ。
「はい、カヨさん。でも、これで帰るための道が少しずつ見えてきたのも確かです。私たちはこのまま進み続ければ、必ず元の世界に戻れると信じています」
カヨたちは、元の世界に帰るための最後の試練に挑む覚悟を決めた。彼女たちの心には、戦いで得た勝利の自信と、帰還への強い意志が刻まれていた。
「どんな試練が待っていようと、私たちは必ず帰るわ。それが、私たちの選んだ道だから…」
カヨの言葉に全員が頷き、次なる試練に向けて一歩を踏み出した。
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