第26話「アビスドラゴンとの再戦」
カヨたちは、ついに全ての神聖なる武具を手に入れ、アビスドラゴンとの最終決戦に向けて準備を整えた。知恵の塔を後にし、彼らは深い霧に包まれた谷を再び進んでいった。今回の目的は明確だった——アビスドラゴンを打ち倒し、この異世界に平和を取り戻すこと。
――――決戦の地、霧の谷にて
「ここが再び始まる場所…」
カヨが霧の谷を見渡しながら呟いた。前回の戦いで感じた恐怖と無力感が蘇るが、今回は違った。彼女たちは新たな力を手に入れ、自信を持ってこの地に立っていた。
「準備はいい?今回は全力で挑むわよ」
カヨが広瀬や仲間たちに確認すると、全員が力強く頷いた。彼らは心を一つにし、アビスドラゴンとの再戦に挑む覚悟を固めていた。
「カヨさん、私たちならできる。これまでの試練が、私たちをここに導いてくれたんだもの」
広瀬が優しく微笑み、カヨに力を与えた。その言葉に、カヨも自信を取り戻し、剣を強く握りしめた。
「そうね、私たちは一人じゃない。みんなで力を合わせて、必ず勝ちましょう」
カヨがその言葉を言い終わる前に、霧の中から不気味なうなり声が響き渡った。アビスドラゴンが、彼女たちを待ち受けていた。
――――アビスドラゴンとの再戦
霧が渦巻き、巨大な黒い影が現れた。アビスドラゴンがその巨大な翼を広げ、冷たい瞳でカヨたちを見下ろしていた。その姿は、前回よりもさらに威圧感が増しているように感じられた。
「行くわよ、みんな!」
カヨが叫び、全員が一斉に動き出した。神聖なる武具を手にした彼らは、以前とは比べ物にならないほどの力を持っていた。リリアの矢が鋭く放たれ、ザックが素早く動いてアビスドラゴンの注意を引きつけた。
「この武具なら、きっと通じる!」
ヴァルドが叫びながら剣を振り下ろし、その一撃がアビスドラゴンの鱗を貫いた。前回は全く通じなかった攻撃が、今は確実に効果を発揮している。
「広瀬さん、あの弱点を狙って!」
カヨがアビスドラゴンの胸部に目を向けると、以前からわずかに弱点として見えていた箇所がはっきりと確認できた。広瀬はその指示に従い、全力で剣を振り下ろした。
「これで決める!」
広瀬の剣が、神聖なる武具の力でさらに強化され、アビスドラゴンの弱点に深く突き刺さった。ドラゴンは激しい痛みに吠え声を上げ、その体が大きく揺れ動いた。
「みんな、一斉に攻撃をお願い!」
カヨの指示で全員が再び攻撃を集中させた。リリアの矢が翼を射抜き、ヴァルドとザックの連携攻撃がアビスドラゴンの動きを封じた。そして、カヨが決定的な一撃を加えるために前進した。
「これで終わりよ、アビスドラゴン…!」
カヨが剣を振り上げ、全力で振り下ろした。その一撃がアビスドラゴンの心臓部に突き刺さり、巨体が崩れ落ちるように倒れ込んだ。霧が晴れていく中で、アビスドラゴンの体はゆっくりと消えていった。
――――勝利の後
アビスドラゴンを倒し、カヨたちはようやく勝利を手に入れた。彼らは戦いの疲れを感じながらも、安堵の表情を浮かべていた。
「私たち…やったんだね」
広瀬が涙を浮かべながら微笑み、カヨもそれに応えるように笑顔を見せた。全員がそれぞれの役割を果たし、力を合わせてこの試練を乗り越えたことに、深い感謝の気持ちが湧き上がってきた。
「皆のおかげで、私たちはこの世界を救うことができたわ」
カヨが仲間たちに感謝の言葉を伝えると、全員がその言葉に同意した。彼らはこの世界に平和を取り戻し、自分たちが果たすべき使命を成し遂げた。
「これからどうする?また元の世界に戻るのかな…」
広瀬が静かに尋ねると、カヨは少し考えた後に微笑んだ。
「そうね、でも今はこの勝利をみんなで喜びましょう。私たちがどこへ行っても、この経験はずっと心の中にあるから」
全員がその言葉に頷き、彼らは勝利の余韻を感じながら、次に進むべき道を探し始めた。アビスドラゴンとの戦いは終わったが、彼らの冒険はまだ続く。新たな物語が、これから始まろうとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます