アビスドラゴンとの激闘の後、カヨたちは辛うじて安全な場所に退避し、全員が深く息をついていた。体力を消耗しきった仲間たちは、どこか疲れた表情を見せながらも、戦闘を生き延びた安堵感に包まれていた。

「ひとまず、ここで休もう。これ以上の戦いは無謀よ」

カヨが疲れた声で言い、全員が彼女の提案に従った。皆が地面に腰を下ろし、アイナが魔法で回復を施しながら、体力を少しでも取り戻そうとしていた。

「カヨさん、広瀬さん、大丈夫ですか？」

アイナが優しい声で問いかける。彼女の魔法がカヨたちの疲れた体を癒していくが、その効果も限られていることは誰もが感じていた。

「ありがとう、アイナさん。でも、まだやらなきゃいけないことがあるわね」

カヨは微かに微笑んで感謝を示したものの、心の中ではまだアビスドラゴンの恐怖が鮮明に残っていた。あの圧倒的な力に対して、今の自分たちができることは何なのか、考えずにはいられなかった。

「…私たち、どうすればあのドラゴンに勝てるんだろう」

広瀬が自分に問いかけるように呟いた。その声には焦りと不安が混じっており、全員がその言葉に共感しているようだった。

「一つ確かなのは、今の私たちではまだあの敵には勝てないってことね」

ヴァルドが冷静な口調で言い、全員が静かに頷いた。彼らはこのまま諦めるつもりはないが、無謀な戦いを繰り返すことも避けなければならない。

「でも、何か方法があるはずよ。アビスドラゴンにも弱点があるはずだし、それを見つけ出すしかないわ」

カヨが決意を込めて言った。彼女は戦闘の中で感じた違和感や、ドラゴンの動きに何か隙がないかを思い出そうとしていた。

「私たちが退避したおかげで、少し冷静になれる時間ができたわね。きっと何か手があるはず」

広瀬もカヨの言葉に同意し、二人は新たな戦略を練るために頭を抱えた。彼女たちは、再びアビスドラゴンに立ち向かう準備をする必要があることを痛感していた。

「まずは情報を集めましょう。アビスドラゴンに関する古い伝承や、過去に戦った記録がどこかに残っているかもしれないわ」

ザックが冷静な口調で提案した。彼の言葉に全員が耳を傾け、次のステップが見えてきた。

「そうね、情報が鍵になるわ。私たちが知らないことが、まだたくさんあるはず」

リリアが続けて言い、全員が一斉に頷いた。今は無理をせず、しっかりと準備を整えることが最も重要だと理解していた。

「まずは休息を取りましょう。そして、情報を集めたら、必ずもう一度アビスドラゴンに立ち向かうわ」

カヨが力強く言うと、全員がその言葉に励まされるように顔を上げた。彼らは再び力を取り戻し、次の戦いに向けて準備を進めることを決意した。

こうして、カヨたちは一時的な休息を取りながらも、次の一手を考える時間を得た。アビスドラゴンとの再戦に向けて、彼らは新たな決意を胸に抱き、反撃の時を待つことになった。

次なる戦いは、彼女たちがこれまで経験してきたどの試練よりも厳しいものになるだろう。しかし、仲間たちと共に歩むことで、彼女たちは必ずその試練を乗り越えていけると信じていた。

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