双子の王子に愛されて〜私に関わらないで〜

梅里遊櫃

序章 これは始まりに過ぎなかった!?

 終わりとはいつもいきなりくるものである。

 盛者必衰とはよく言ったもので私は名前に平家も源氏も無いんだよなと空をふと見る。

 異世界から来た私は成り変わりでもなんでもなく、聖女としてきたわけでもなく土から生えてきたと思われている孫悟空のようなものである。

 土から生えてきたのではなく、置き去りにされた赤ん坊だったようだが、18年も経つと記憶があやふやである。

 王家の門の前で見つけられた私は大スクープになったらしく、今やお姫様ご身分なのだが、成人の儀は私の育った元の環境とは違い16歳。兄弟は下に8人もいる。大家族がすぎる。

 どっかの世界でも悪役令嬢でもなくここは夢なのではと思うが、18年は過眠症も行き過ぎている。

 

 終わっていく婚約の儀の破滅の様を見ながら私はこんな物思いに耽っていた。

 帰りたい現実へ。どうかこの双子のいないところへ。


「アリィ姉様、やっぱお家に戻りましょう」

「そうですよ、僕たち家族みんな待ってますし、ずっとお城にいましょうね」

「はあ」


 大きなため息をつく。これが最初だったら可愛いものだし、お父様も止めてくれていれば、と思う。だが、これは10度目だ。

 何度もアプローチをくれる殿方、そしてアプローチをめげずに受ける私。そして邪魔する弟たち。

 だが、悪いが私はモテる。異様にモテる。

 日本国の令和時代にいた私は黒髪の綺麗な日本美人であり、キャリアもそこそこに持っていた。今やお姫様だ。モテるのも当然だ。いわゆる転生者のチート能力や予知能力なんてないし、時間遡行なんてものはできないが。

 そもそも中世ぽい世界において頭がいいなんて隠すものだし、頭が良くても黙っていることが大事だ。間違いをもとに人は成長するのだからおせっかいなんて不要である。

 そして私はモテるのだと行き着くわけだが、どうにもこうにもガキどもに邪魔をされてしょうがない。


 私は魔法が使えないが魔法が使える弟たちが、さっきまで婚約者だったものを両家の前で本音という名の邪心を言わせてまたオジャンだ。

 それくらい対策してくれと思いながら、私は庭園へと出ていく。

 違うという響く声は致し方ない。

 人とはいえ、言われて嬉しくない言葉を後ろに私は去っていくのだ。

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