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「ここがキミらの部屋ーーアオくんの部屋の隣だね。荷物は既に運んであるよ」
勝手が知られすぎている我が家。
何故か泊が家の案内を双子姉妹ちゃんにしていて、物置だった筈の俺の隣の部屋が既に片付けられていて、双子姉妹ちゃんの私物と思われる物が置いてある。
い、いつの間に⋯⋯。
「これで一通り案内は済んだかな。何か質問はあるかね?」
「「⋯⋯」」
ふるふると無言で首を横に振る双子姉妹ちゃん。その動作もまるっと一緒。凄いなぁ。双子って動きもシンクロするんか。
「あとは何か困ったことがあれば気軽に相談してくれたまへ。僕で良ければ力になるよ」
「「⋯⋯」」
双子姉妹ちゃんにニコリと優しく微笑みかける泊。うーむ。頼りになりすぎる。ここら辺が泊先生のイケメンポイントやな。泊先生に頼っとけば何も間違いはねぇ!俺ちゃんもいつもお世話になっておりますー!
「困った時はオタガイサマっつーヤツだな!オレたちゃもう家族みてぇなもんだし悩み事があんなら抱え込まねぇでゲロっちまえよな!」
「「⋯⋯(ビクッッ)」」
双子姉妹ちゃんの間に入って紅がそれぞれの肩を両手で抱くと無表情ながら身体をビクつかせる双子姉妹ちゃん。相変わらず紅の距離感が激近。肉体的スキンシップ多め。
「貴様らをこれより我が部下とする。励め」
「「⋯⋯」」
そして何かよく分からないがとても偉そうに腕組みした歩夢が双子姉妹ちゃん達の前に立ちはだかる!うん。意味わからんちん!
つーか、歩夢はいつまでブラック長官やってるのか⋯⋯まあ、多分そろそろ飽きてやめる頃合かと思う。
「「⋯⋯」」
いつも通りな幼なじみ達に対して若干戸惑い気味の様子の様な気がする双子姉妹ちゃん。最初だからアレだけどおそらく直ぐに慣れてくれるでしょう!多分!
「んじゃ。みんなでゲームしようぜー!」
「いいねっ!」
「スマロボ?」
「いいねっ!」
スマロボとは大乱闘スマッシュロボット大戦の略称である。多種多様なロボ物アニメ・ゲームがクロスオーバーした夢のような対戦アクションゲームである。
世間的認知度はそこそこであるがその手のロボ好きには超絶人気を誇っている。
「コントローラー4つしかないけどどうしようか?」
「そうだな。カンナとカンリは固定でオレらが勝ち抜けで」
「うむ。それがいいかな」
そんなんでみんなで仲良くゲームして遊ぶぜ!
⋯⋯⋯⋯。
⋯⋯⋯⋯。
⋯⋯⋯⋯。
「すとなぁぁあッ!サンッ!シャインッッッ!!!」
「メイオウの力の前に消え去るがいいよ。⊃天⊂」
「⋯⋯⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯」
紅と泊がまだ操作の覚束無い双子姉妹ちゃんを容赦なくボコボコにしていた⋯⋯手加減という言葉は知らんかコイツらわ。何事にも全力!
しかし意外や意外。普通こんなボコボコにされたら「クソゲー!つまらん!ヤメル!」となりそうなところだけど双子姉妹ちゃん達は諦めずに立ち向かっていっている。
案外、負けず嫌いだったりするのかな?
気持ちは分かる。うむ。負けっぱなしじゃいられんもんね!
しかし、このままにしとかのもアレ。
あっ、せや!
「2対2のチーム戦にしたら?」
「おっ。それいいんじゃね?んじゃ、俺はカンナと組むわ!」
「それなら僕は柑理くんとだね。よろしく」
俺氏の提案でチーム戦にシフト。パワーバランス的には当然そうなるのだが。
「「⋯⋯」」
敵同士になってしまった双子姉妹は顔を見合わせる。
スペック的にはほぼ互角だろうし⋯⋯どっちが勝つのか?
これまで全て同じだった双子の姉妹で優劣をつける行為⋯⋯俺の提案はもしかしたら悪魔の提案だったのかもしれない(?)
この1戦⋯⋯見逃せないぜ!
「アオちゃんアオちゃん」
「どしたの歩夢」
「ちゅっちゅっしよ」
「急に!?」
急にッ!?
「いいから唇吸わせろ」
「唐突すぎる!」
「恋は唐突」
「そうかもしれんけど?」
「お口が寂しい」
「禁煙した人みたいなこと言ってる」
「ポテチでも可」
「ちゅっちゅとポテチが同列」
「ポテチ食べたい」
「取ってきマース!」
「ボクも行く」
歩夢と共に部屋を出てキッチンにポテチを取りに向かった。
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