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スマホで
振り返ってみるとそこには我がクラスのギャル代表である
「随分とまあ楽しそうにしてるけどさ。それ、何やってんの?」
畑中はそう問いながら俺が座る席の机の上に腰掛けて、俺の手元のスマホ画面を覗き込んでくる。
「おっ。今これアプリのカードゲームやってんだけどさ。畑中もしかして興味ある?興味あるなら一緒にやろうぜ!」
「えっ。は、はぁ……?い、いや別に興味無いけど……」
「まあまあ!そんなこと言わずにちょっとやってみようぜ!やってみたら意外と楽しいかもしんないじゃん?」
「いやなんかグイグイ来んのねアンタ……。つーか高校生になってカードゲームとか恥ずかしくないわけ?ガキっぽくない?」
「まあまあまあまあ!そんなこと言わずにさ!試しにね!ちょっとだけ!ちょっとだけやってみよ?ね?お願い!お願い!」
「お、おう……。いやまあ……そこまで言うなら1回ぐらいなら……」
「ホント!?ありがとう畑中!畑中めちゃくちゃ良い奴だな!んじゃ早速やろうぜ!」
「あっ、ちょっ……!?」
ゴリ押し感はあるがゲーム仲間を増やすちゃんすとばかりに俺は張り切った。
机に座る畑中の背後に回って自分のスマホを畑中に見えるように腕を回す。
「ちょっ……!おまっ、青田オマエ、急に……!」
「それじゃ初心者でもわかりやすいデッキにして……久保!もう1戦おねがい!なんか弱いデッキ使って!」
「はいはい」
「ほらほら畑中!これスマホもって!決定ボタン押して!」
「えっ、あ、ああ……うん……」
「よっしゃ!
◇
いやなんなの急にコイツ!?
ちょっと声掛けたらグイグイ来るんですけど!?
なんかクソほど興味もないカードゲームやるハメになったんですけど?マジ意味わかんない……。
「それじゃまずはーー」
つーかなにこれ?なんか後ろから抱き締められる感じになってるし!コイツ距離感近すぎんだけど!
「まずこっちのターンでーー」
ゾクッ……!
あっ、ちょっ……!耳元で囁くなしっ……!ウチ耳弱いんだからヤメロこのバカ!
でも何こいつすっごい慣れてる感あるし、思ったよりも身体がガッチリしてて鍛えられてるのが分かったし、それに男の癖になんかすっごいイイ匂いするんですけど!?何この匂い?コレ男子の匂いじゃなくね?コイツホントなんなの?
「とりあえず先行とったら強いのいっぱい並べてくんだけどーー」
スッ……と自然に青田の手がウチの手に添えられて、ウチの指が優しくスマホの画面をなぞる様に誘われる。
「まずはこれ出して……そしたらこれも出るから……」
背中から優しく抱き締められ、囁く吐息が耳元にかかって背中が震える。さらにウチの手の甲に添えられた青田の手の温もりが……なに、この感覚……。
「ほら、これでシンクロ召喚」
シンクロ……。
「ね?ほらなんか強そうなのいっぱい出たじゃん?」
「う、うん……そ、そうみたい……?」
「これで相手が出してくるの片っ端から制圧してく感じ」
「制圧……」
正直、カードゲームの方は何をやってんのかサッパリ分からなかったけど、カットインの演習が入って悪魔っぽい赤黒いドラゴン?がスマホ画面にいっぱい並んでる。
確かになんか強そう……?
「とりあえず最初はよく分かんないだろうから久保が出してくんのを片っ端からやっつけてけばヨシ!」
「そうなの……?」
「そうなの!」
対戦相手である久保が何かを出してくるが、ウチのモンスターがそれを無力化したり、破壊したりしてる。
やっぱりなんかよく分かんなかったけど、相手の行動を片っ端から潰している様子は爽快感があった。
「しゃ!最後はスパノヴァで全除外じゃ!くたばれ久保!」
「わー、やられたー(棒)」
最後に1番強そうなドラゴンが反応すると何枚かあった相手のカードがまとめて何処かへと消えていった。
気がつけば相手のカードは何も残ってない。
スッカラカンでスッキリしていた。
「後は殴って勝ちだぜ畑中!」
「そ、そうなの……?ウチの勝ち?」
「そうそう!畑中つえー!」
強そうなのが攻撃して派手なエフェクト共に対戦相手がパリンパリンと砕け散る。
そして画面にはWinの文字が表示された。
「いやもうこれ畑中才能あるって!凄い凄い!」
「そ、そう?」
「どうだった楽しくなかった?」
「いや、それは何やってるかよく分かんなかったし……」
「それならもう1回やろ!ねっ!お願いお願い!もう一回だけ!おねがい畑中!ねっ!おねがい!」
「ま、まあ……そこまで言うなら別にいいけど……」
「ホント!?ありがとう畑中!畑中ホント良い奴だな!」
その後も何度か付き合わされて……結局、休み時間が終わるまでウチは青田達と普通に遊んでしまったのであった。
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