ラキ、強奪!
「ほな、往くで!!」
ギュ……。
「俺ガ先ダ!」
「あんたデカすぎるから狭くなるだろ? つまり私が先ではないですか?」
「イヤ、オ前、後輩ダロウ?」
「乗り物に乗るのに、先輩も後輩もないでしょう?」
「ヤルカ?」
「やりますか?」
──スパスパコーン!!
「あんたら、ええ加減にしいや!?」
「お嬢、頭は勘弁してくださいよ」
「ソウダゾ?オ嬢、ただでさえイカレタ頭ガマスマスオカシクナルダロウ?」
「やるんですか!?」
「オウ、ヤンノカコノヤロー!!」
──スパパパパ──ン!!
「だあほっ!! お前ら出ていけや──!!」
ゲシゲシと二人を蹴っ飛ばす。
「お嬢、頭はやめてくださいよ!」
「うっさいわ!! 嫌やったらマックス、あんたが何とかせんかい!!」
マクスウェルは掌をポン、と叩く。
「早くそう言ってくださいよ!」
マクスウェルがツカツカと小型船から離れてゆく。
「お嬢! 船から降りてもらえませんか?」
「マックスあんた……壊したらしばくからな!?」
ジロリ、ラキはマクスウェルを睨みつける。
「承知いたしました!」
ぴょん、とラキが飛び降りて少し離れると、マクスウェルはステッキをクルクル回してピシッ、と構えた。
「ご覧あれ!」
マクスウェルが手に持っているステッキの杖先を小型船へと向けた。
「
パンッ、とステッキの先が弾け、中から細い糸のような触手が無数に飛び出して四方八方へ伸びてゆく。
そのうちの一本は小型船へと潜り込み、パーツごとにバラしてゆく。
「……うちの小型船が……高かったのに……」
「もっと価値のあるものに仕上げますよ。しかし浮揚石が小型船のソレしかないですからね。そのうち大きなものを手に入れたいところ。なるべくウェイトを抑えて、浮力推力を軽くします。その代わり装甲は脆くなりますよ」
「もともと小型船やしな、贅沢は言えんか……早くでっかい浮揚石、手に入れんとな!!」
「ジャア、向コウニ見エル船カラ貰エバ良インジャネエカ?」
ラキとマクスウェルがアモンが指差す方角から飛来する貨物船に注目する。
三人顔を見合わせる。
「「……ソレダ!!」」
ラキとマクスウェルがアモンを指差して言った。
「アモンさん、お願い出来ますか?」
「良イケドヨ、浮揚石トヤラガ船舶ノ何処ニアルノカ、ドンナ物ナノカ知ラナイノダガ?」
「アモン、うちがついて行くさかいに心配あらへん、往くで!!」
「オウ!」
アモンの肩にラキが乗ると、アモンは貨物船へと向かって、弾丸が射出されたかのように走った。
貨物船の浮揚石が手に入ると考えたマクスウェルは、小型船をバラして改良していたが、趣向を変えて大きくする為にスクラップを精製してより大きく組み上げてゆく。
「アモン」
「アイヨ!」
「あの貨物船をマクスウェルのとこまで運ぶで!!」
「ガッテン承知!!」
二人の目がキランと、四つ光る。
ダダッと疾風のように一陣の風が吹き抜けて貨物船へと迫る。
「アモーン!」
「アイヨ!!」
ラキの合図で肩に乗っていたラキをアモンが投げた!
「ひいいいぃぃいやっはああああああああ!!」
船首に向けて豪快に宙を舞うラキは、鉄パイプを構えてご機嫌だ。
ダンッ! 地面が爆ぜるほどに踏み込んだアモンは、貨物船の下を掻い潜って船の後部へと回り込んだ。
ドンッ! アモンが背面跳びして、ダダン!! 船の前後の甲板ににそれぞれ着地した。
わ
ニヤリ、顔に影を作って嗤う二人。
ラキは船の舵を乗っ取りに操舵室へ、アモンは船の動力を奪うべく機関室へと向かった。
「うおらあああああ!!」
思い切り振りかざした鉄パイプを、ブンと一振りでブリッジの大きな窓ガラスにビシッとヒビが入り、めり込んだ鉄パイプの頭をガンッと蹴飛ばすとバリンとガラスが割れて、そのまま中へと飛び込んだ!
何事かとブリッジ内の乗組員は賊と思われるラキを迎撃しようとするが、バンババン!! ラキの銃口が火を吹く。銃に手をかけようとしていた者たちの銃を撃ち落とした。
「なんて女だ! こんなゴミしか積んでない船を襲っても仕方無かろうに!?」
「あん? あんたらにとってゴミでもなあ? うちらにしてみたら宝の山なんや。大人しく渡してもらうでえ!?」
「か、勝手にしろ!! 俺はゴミのためにわざわざ抵抗なんてしねえから、頼む、見逃がしてくれ!」
「……、しょうもないことしたら、わかってるなあ?」
「ああ、武器は置いてゆく! 好きにしろ!!」
「オーケーイ♪ ほな、さっさと行きやあ!! ほらっ! ボサッとせんと!!
ブリッジの乗組員はそそくさと逃げ出し、ラキは機関室へ放送を流す。
『こちらラキ。ブリッジ制圧完了♪』
機関室では気の荒い機関士たちがアモンと対峙していたが、敵うはずもなく、スゴスゴと逃げ出していた。
「オウ、ラキ! コッチモ制圧完了ダ!!」
ガコン! ギアの音がして、ゆっくりと貨物船が方角を変える。
『よ〜し! このままマックスに突っ込むで!!』
「イヤ、流石ニパーツガ壊レネエカ!?」
『ん? 大丈夫やろ? 知らんけど! わははは』
アモンは機関士たちを追いやるように、自身も機関室を出て、ラキの居るブリッジへと向かった。
「風通シガ良イブリッジダナ?」
「せやろ? わははは!」
ラキはマイクを持って船外放送を流す。
『アー、アー、ア~♪ マクスウェルのアホ〜♪ ッ!? オ嬢! オレニモ貸シテクレ! 嫌や! マイクは渡さへんで〜! ソンナケチ臭イ事言ウナヨ!? ア~、コホン、コレハ失礼、ゴ主人様。ドウカ一度ダケ私メニ、マイクヲオ貸シ頂ケナイデショウカ? お、おおう、それならほら。一回だけやで? アリガタキ幸セ。へへ〜♪ ア~コホン! マクスウェルノドアホ〜♪ 何時デモ、何処カラデモカカッテ来ンカ〜イ♪ あっ! アモン!! 喧嘩はアカン言うたやろ!! モウ終ワリマシタノデ! だあほ!! ゲシッ!』
貨物船の舳先が向かう先、マクスウェルは貨物船を見て言う。
「……ドームに帰ろうかな?」
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