【短編】なぜかたま〜にドイツ語でデレてくるミアさん
琵琶湖3411M@タイピング投稿者
『なぜかたま〜にドイツ語でデレてくるミアさん』
ここは私立舞浜学園。某ネズミの国に近いところにある学校。 中高一貫校であり高等部の偏差値は全国の高校の中でもトップを争うほどの高校。
そんな高校の2年生である宵闇吉宗(よいやみよしむね)は、今。
ただただ机に伏せていた。
彼は何をするにも気力が湧かないらしい。
そんな彼の背後に、影が見える。
影が動き、椅子を蹴る。
「ングハッ!!!」
吉宗はそう声にならない声で飛び起きる。
「おはよう、宵闇くん。また寝てたの?」
そう問いかけてきたのは同じクラスの「マリア・ミライヲウ・高山」。ドイツ人と日本人のハーフ女子。学園一の美少女と言われており、尚且つ成績も上位。
「お、おはよ、ミア。」
ちなみにマリアという名前を略すとミアと言われるらしく、みんなこの名前で呼んでねと言われている。
ただみんな恐れ多いとのことで、ミアと呼んでいるのは吉宗だけ。
「どうせまたTwitterやってたんでしょ?」
「そだけど?やっぱタイムライン追っかけるの楽しいわw」
「もう助けようのない人ね。」
『Nun, ich mag so etwas』
「?なんか言った?」
「別に?ただ『バカね』って言っただけよ。」
「ドイツ語罵倒は、厳しいって」
「…」
「グホッ!!!」
また蹴られた。理不尽すぎんか...?
毎朝のように繰り返されるこんな出来事。
『Ich habe es überhaupt nicht bemerkt』
と小声でつぶやいたミア。
いや、全部意味分かってんだからな...()
まあこの学校の児童はほぼ全員日本語と英語以外にもう1言語以上話せる奴がほとんど。
俺の母親の祖先を辿ると祖先はドイツで生まれている。そのため爺さんのところに行くとドイツ語を熱心に教えられ、覚えてしまった。
この学年でドイツ語を話せたり聞き取れたりするのはミアと俺だけ。
つまり、俺は知っている。この女がドイツ語でデレてくることを。
まあ今その事実を晒してもいいんだがそうすると屈辱的な顔が見れないのであえて黙っておく。
こんな出来事が、ずっと続くと思っていた。
ミアが交通事故に遭った、その日までは。
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ある日の帰り道。
交差点を渡っていると、右側からトラックが高速で突っ込んできた。
もう逃げれない。
そして私は意識を失った。
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「嘘だろ...」
としか呟けなかった。
HRにその事実を突きつけられたその日は、授業に集中できなかった。
全く、なんなんだよっ
あんなにデレられたら、俺も好きになってしまうじゃんか。
と言うわけで放課後、なんとなく近くの病院へ寄ってミアを探していると、とある病院でミアの病室が見つかった。
偶然ミア以外に誰もいなくて、ミアは俺を見るとすごく驚いていた。
「宵闇くん!?なんでここに...」
「そりゃクラスメイトの一大事にはちゃんと寄らなきゃダメだろ。あと、『Wenn das Mädchen, das ich mag, im Krankenhaus ist, möchte ich gehen.』」
「宵闇くん...?なんでドイツ語話せてるの..?」
「俺ドイツ語わかるんだよね。」
「え...?」
3秒くらいフリーズした直後、一気にミアの顔が真っ赤になった。
「一応あれ告白のつもりだったんだけど、返事は?」
というと、もじもじと躊躇いながら、
「好き。大好き!」
と言った。可愛すぎんだろ。
「うん、知ってる。」
と返すとまたミアは顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。
そして決して深くはないキスをして、恋人としての契りを結んだのであった。
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読了お疲れ様でした。
今回の短編小説は遠距離ラブコメと銘打ってもいいでしょう。
この小説、連載希望等があれば連載用にする予定ですのでお楽しみに!
追記:今書いてようやく分かったんだが、吉宗くんSかもしれない
ミア「ほんと嬉しかったわ...でもなんでドイツ語話せるの隠してたの?」
吉宗「お前が恥じる姿見たかったから」
バンッ
吉宗「グハッ!」
【短編】なぜかたま〜にドイツ語でデレてくるミアさん 琵琶湖3411M@タイピング投稿者 @Biwa3411
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