第12話 終焉

再び世界は創り出され、先生が僕の部屋に入ってくる時点に戻る。僕はそこから何度も負け、何度も殺された。そしてまた新しい世界が始まり、同じ瞬間に戻る。


これは僕の能力のひとつ、だ。僕が死ぬと自動的に発動し、直近の特定の地点に戻される。その時、自分の記憶以外はすべて元に戻り、周りの人々の記憶もリセットされてしまう。それが唯一の欠点だ。


この能力のおかげで、僕は先生と何度も戦うことができた。戦いを繰り返すうちに、先生の癖やパターンを見抜くことができた。


おそらく1000回以上戦っただろう。そのくらいで、やっと先生に勝つことができた。


肉体的な疲労はリセットされるが、精神的には非常に過酷だった。でも、守るべき人がいたから、僕は戦い続けられた。もうこんな経験はしたくない。


先生を倒せたので、彼を封印し、別の空間に閉じ込めた。


僕は急いで守るべき人の元に向かい、着くや否や彼女に「本土に逃げるぞ」と告げた。「ど、どうして?」と聞かれるが、もう時間はない。


能力を発動する。そして、僕たちは本土に瞬間移動をした。その数時間後、本土ではトリカブト島に核爆弾が投下されたというニュースが流れていた。


やっと逃げ切れた。ユキノを助けるために、何千回、何万回と繰り返してきた輪廻が、ようやく幕を閉じた。僕は高校生活を、ユキノを助けるまでずっと繰り返してきたのだ。そして、全てが終わりを迎え、静かに新たな日常が始まろうとしている。


[エピローグ]


僕たちは森の中にある小さな家で静かに暮らしていた。かつてのような軍の訓練や身分制度に縛られることもなく、自由な生活を楽しんでいた。


「なあ、ユキノ、お前は結局何者だったんだ?」


彼女が淹れてくれたコーヒーを飲みながら、僕は気になっていたことを尋ねた。


「私はただの管理職ですよ。給料が高かったから応募したら、たまたま採用されたただけです。」


「そうなのか。じゃあ今は連絡取れないんだな、上の人たちに?」


「ええ、そうですね。」


なぜだか急に眠くなってきた。まぶたが重くなり、ゆっくりと閉じていく。


「ごめん…ユキノ…なんか眠い…」


僕はそのままテーブルで寝入ってしまった。


ユキノは静かに僕を見つめ、微笑んだ。


「ふふ、政府も大胆な策に出たわね。何百人もの能力者を島に集めて全員殺すなんて。でも、そこまでして政府がこいつを封印する理由が、どうしても納得できないわ。まあ、人類兵器の候補だから仕方ないか。」


彼女は僕の体に触れ、小さな箱のようなものに封印した。


「こちらユキノ、対象のに成功しました。」


トランシーバーで上機嫌に報告する彼女の声が、静かな森の中に響き渡った。

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眼帯Eランクから始まる、最強への成り上がりと裏切りライフ ろん @ronron115

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