とうきょうオーロラ

夢ノ命

第1話 隊員募集!


◇12時のニュース◇


――7月21日に太陽の黒点1236から地球方向に放出されたフレアとCME(コロナ質量放射)は、3日後に地球に到達予定。



◇15時のニュース◇


――C7の小規模レベルではあるが、到達後、30%~35%の確率で磁気嵐が発生すると見られる。



◇18時のニュース◇


――それにともない、オーロラが各地で観測される可能性が高まり、地震や災害等の警戒も必要である。



******



 東京でも、オーロラが見られるかもしれない?


 このビッグニュースは、ライオン流星群がたくさん見れた日よりも、僕らを興奮させた。


『何て言ったって、オーロラだぜ、オーロラ。本当は、アラスカやシベリア、グリーンランドまで行かなきゃ見れないんだよ、それが、ついにやってくる』



 ここは、大谷小学校の4年4組の教室の中。


 いま、熱弁をふるっているのは、プラネタリウムに足しげく通う天外則雄(てんげのりお)こと、あだ名は『プラッチ』だ。


 あいかわらずプラッチは、天文現象のこととなると、テンションが高い。


 やってくるなんて、ボリショイサーカスじゃあるまいし……



 僕は、島田拓也(しまだたくや)、プラッチと同じ4年4組のメンバーだ。自称、『ドッチボールの天才』。この秋のドッチボール大会に向けて、クラスを引っ張っている。


 まあ、自分で言うのも何なんだけど、ドッジボール大会では、かなり頼りになるキャプテンだと思う。


 だから、今回のイベントでも、僕は真っ先に行動を起こした。



 まあ、本当は、ドッジボール大会の肩ならし程度にしか考えていなかったんだけど……僕たちには、一生忘れられない思い出ができて、そして、秋のドッジボール大会でも見事、優勝できたんだ。



 あれから三年の月日が過ぎて……僕らは中学一年生になった。


 感動することって、いい。

 胸を張って生きていくためには、必要な原動力なんだ。


 三年前には分からなかったけど、僕らは、ハートで深く深呼吸をすることを覚えた。また新たな感動を夢見て。


 僕らは、集まると、飽きるまであの話をしてきたけど。……



 あなたにも、今夜特別、話しておきたい。


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