第2話 ワラシ蜘蛛

煌星は、秋田県の静かな町に住んでいました。この地域では、物価が比較的安く、一日の生活費も抑えられるため、彼がヤマトオンラインで稼いだ13284円は、実際にはかなりの額です。


彼は、「これでしばらくは安心だ」とホッと胸をなでおろしました。秋田の田舎での生活において、この額は日々の生活費やちょっとした贅沢にも十分使えるものであり、煌星にとっては上々の収穫です。


このゲームでの初めての成功が、彼の自信を少しだけ回復させ、次のステップへと導いていくことでしょう。


おばけ草との戦いに慣れてきた煌星は、さらなる挑戦を求めて、少しだけ強い敵に目を向けることにしました。その相手は、「**ワラシ蜘蛛**」という妖怪でした。ワラシ蜘蛛は、稲藁に潜みながら獲物を待ち伏せるクモの妖怪で、おばけ草に比べて攻撃力が高く、動きも素早いという特徴を持っています。


煌星は、手元に残った7個のポーションを使って、ワラシ蜘蛛に挑むことを決意しました。これまでの経験を生かしながらも、相手が少し上のランクであることに緊張を覚えつつ、戦いの場へと足を踏み入れます。


森の奥深くに進んだ煌星は、ワラシ蜘蛛が潜んでいるエリアに到達しました。周囲に漂う不気味な気配に、彼は慎重に歩を進めます。突然、足元の稲藁が揺れ、ワラシ蜘蛛が一瞬のうちに姿を現しました。体長はおばけ草よりも大きく、鋭い脚で煌星を狙い定めています。


「まずい、速い…!」煌星はとっさに身を引きながら、手持ちの初期武器で応戦しましたが、ワラシ蜘蛛は素早く動き回り、なかなか攻撃を当てることができません。


ワラシ蜘蛛の一撃が煌星の肩に当たり、HPゲージが大きく削られました。痛みに顔を歪めながらも、彼は素早くポーションを取り出して飲み、体力を回復させます。幸いにも、ポーションの効果でHPがほぼ全回復し、再び立ち上がる力が湧いてきました。


「これなら…!」煌星は、ポーションの恩恵に感謝しながら、ワラシ蜘蛛に再び向き合います。しかし、相手も手ごわく、鋭い攻撃を繰り出してきます。煌星はポーションを飲みつつ、何度も体力を回復しながら攻撃を続けましたが、ワラシ蜘蛛の動きに苦戦を強いられました。


四苦八苦しながらも、煌星は徐々にワラシ蜘蛛の攻撃パターンを読み、隙を突いて攻撃を当てることができるようになってきました。何度かの激しい攻防の末、ついにワラシ蜘蛛が倒れると、煌星は大きく息をついて、その場に座り込みました。


「やった…けど、これ、ギリギリだな…」煌星は、ポーションの残りがあと少ししかないことに気づきましたが、勝利の達成感に満ちた笑みを浮かべました。彼は新たな敵に挑み、少しずつ成長している自分を実感しました。次に進むための新たなステップが見えてきたのです。


煌星はワラシ蜘蛛との戦いを続け、一日が終わる頃には、かなりの戦利品を手に入れていました。以下が彼の一日の戦利品リストです:


---


**一日の戦利品:**


1. **ワラシ蜘蛛の糸 × 12**

丈夫で粘り強い糸。クラフト素材として高値で取引されることが多い。


2. **蜘蛛の脚(食材)× 7**

ワラシ蜘蛛の脚。調理すれば珍味として人気がある。食材としての需要が高い。


3. **稲藁のかけら × 18**

ワラシ蜘蛛が潜んでいた稲藁のかけら。ポーション精製やクラフトに使用可能。


4. **妖怪の宝珠(小)× 1**

稀にしかドロップしない貴重なアイテム。高価な装備の素材として利用されることがある。


5. **ポーション(残り)× 2**

煌星が使用せずに残ったポーション。次の戦闘で役立つだろう。


---


煌星は、この戦利品を手にして、少しずつ強くなっている自分を感じました。特に「妖怪の宝珠」は予想外の収穫であり、彼にとって大きな励みとなりました。これらのアイテムをどのように活用するか、次なる冒険の準備が整いつつあります。


煌星は、ワラシ蜘蛛との激闘を終え、戦利品の整理をしていました。特に気になるのは、手に入れた**稲藁のかけら**です。これを使ってポーションを強化ポーションを精製することで、さらなる収益を得ることができると知っていた彼は、すぐにポーションの作成に取り掛かりました。


彼は強化ポーションを精製し、いくつかの瓶に注ぎ終えた後、ヤマトオンライン内のマーケットにアクセスしました。マーケットには、プレイヤーたちが出品するさまざまなアイテムが並んでおり、煌星は自分の作ったポーションの価格を確認します。


画面に表示された価格チャートを見つめながら、煌星は少し戸惑っていました。現在の価格は1200円から2500円の間で変動しており、売るタイミングを見極めるのが難しい状況です。もし低い価格で売れば、すぐに利益を得ることができますが、高値で売れる可能性も捨てきれません。


「今売るべきか、それとももう少し待つべきか…」煌星は自問します。マーケットの動向をじっと見つめながら、指が震えるのを感じました。強化ポーションを売ることで得られる金額は、彼の今後の冒険資金に直結します。特に、次なる強敵に備えるための装備を揃えるには、できるだけ高く売りたいところです。


しかし、相場が急激に下がるリスクも頭をよぎります。彼は一度深呼吸をし、冷静になろうと努めました。画面の右端にある強化ポーションのチャートは、今も刻々と動いています。


「もう少し、様子を見てから決めるか…」煌星は自分にそう言い聞かせ、しばらくは他の作業を進めることにしました。戦利品の整理や装備のチェックをしつつ、片目でチャートを注視し続けます。


時間が経つにつれて、チャートの動きが少しずつ変わり始めました。価格が一時的に上昇し、2500円近くに達した瞬間、煌星は決心を固めました。


「今だ…!」彼は即座に強化ポーションを売りに出し、成功の確認メッセージが表示されると、胸を撫で下ろしました。高値で売ることができた満足感と共に、彼の手には新たな収益が加わりました。


「これでまた、次の冒険に備えられる…」煌星はそうつぶやきながら、今後の計画を頭に描き始めました。彼の冒険は、まだ始まったばかりです。しかし、この小さな成功が、彼にとって大きな自信と力となることでしょう。


煌星が作成した強化ポーションは、**7本**ありました。彼はそのうち、価格が**2500円**近くに達したタイミングで全てを売ることを決意しました。


それぞれのポーションが**2500円**で売れたとすると、合計で**15,750円**の収益を得ることができました。


### 現在のゲーム内状況


**所持金**

29,034円


**購入アイテム**

- 鉱石採取のためのつるはし: 100円

- 釣りのための釣り竿: 100円

- 料理のための包丁: 100円


**インベントリ内のアイテム**

1. **微光のしずく × 12**

- おばけ草の体からこぼれる光の粒。他のアイテムとのクラフトや希少な装飾品の作成に使用可能。


2. **しおれた茎 × 22**

- 使用価値は低いが、クラフト素材や取引にわずかな価値がある。


3. **おばけの種 × 1**

- 極めて稀にドロップするアイテム。特別な場所に植えることで特異な効果を持つ植物が育つ。高値で取引されることもある。


4. **ワラシ蜘蛛の糸 × 12**

- 丈夫で粘り強い糸。クラフト素材として高値で取引されることが多い。


5. **蜘蛛の脚(食材) × 7**

- ワラシ蜘蛛の脚。調理すれば珍味として人気があり、食材としての需要が高い。


6. **稲藁のかけら × 11**

- ワラシ蜘蛛が潜んでいた稲藁のかけら。ポーション精製やクラフトに使用可能。


7. **妖怪の宝珠(小) × 1**

- 稀にしかドロップしない貴重なアイテム。高価な装備の素材として利用されることがある。


8. **ポーション(残り) × 2**


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煌星は、インベントリを確認しながら、ゲーム内で着実にお金がたまっていくことに喜びを感じました。次第に増えていく所持金が、これからの冒険への期待を膨らませます。明日への希望を胸に抱きながら、彼は静かに目を閉じ、心地よい眠りへと落ちていきました。

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