君想う恋心宿りて灯火焦がす

かぐや薫子

春告鳥の恋の唄。慈しみ宿りて心より愛する

情欲に焦がれた翼は、溶け落ちる事を知らない。

徒然なるままに恋文を書く事も楽しみの一つだと言う。

泡沫の波に揺蕩う恋の夢は無数に散りばめられて……

恐れを知らぬ恋心と情慾の夢に浮かされた翼が熱く絡み合って蕩け堕ちた。

彼の人も知らぬ恋の唄は、届く事なく海の底へと消えていく。


「きっと一生届かないのでしょうね」


それでも書き続ける恋の唄。


徒然なるまま、ありのまま


そうして夢の中で囁かれた言の葉は、己の心を甘く疼かせた。


夢から覚めて早鐘を打ちながら起床した朝。

蕩ける心と速くなった鼓動に急かされて頬を熱くさせる。

今の夢をもう一度見たいと思う程に心が熱く蕩けていくのを感じた。


泡沫の波の中で焦がされた夢は、熱く流れる溶岩のようになって心臓を燃え上がらせて……嗚呼、自覚してしまったら止まらない!



「恋心宿りて雪に蕩け満ちる花の色」


珈琲の冷めない冬の朝。


春はもうすぐやってくる。

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