4 ティーンエイジ・ストライダー
インプット元:とある大学サークル漫画
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お酒が飲める年齢になったら、社交的になれると思っていた。自動的にとまでは言わないけれど、先輩とか、後輩とか、嫌いなやつとか親友とか作って、彼女できねぇなーなんて、ぼやいてるんだと思ってた。
考えてみれば、無理のある話だったのかもしれない。大学生になったからと言って、勝手に人付き合いの方法が変わるわけがない。意識的に変わろうとも思わずに、出会いを待つだけじゃダメだったんだ。
入学式後のサークル勧誘なんてなかった。学生食堂で誰かと相席になることなんてなかった。せいぜい授業の課題相談くらいだろうとは思っていたけど、そもそも講義室に集うことがなかった。
高校が通信制だったから、事の重大さを理解できていなかったのかもしれない。新型のウイルスが学校行事を消してしまうと知っていたから、他のみんなは、別の手段を探すことにしたんだろう。
「あ」
プレーンサワーのプルを上げてから、つまみを買い忘れたことに気づいた。仕方が無いから、百均の大グラスに注ぎはしたけど、缶のまま置いておいた方が良かったかもしれない。
仕方がないので、グラスとロング缶の両方にラップをして、冷蔵庫を開く。なにか残っていないかと思ったけど、金曜の五限終わりに期待をするだけ無駄というものだ。
「俺、なにしに来たんだろ」
無色透明な焼酎ハイを見ていると、詩人でも無いのに、妙な気持ちになってくる。つまりはこの、安物のソーダガラスは、俺の青春を表しているのだと。
灰色でも色付いていれば良かった。俺の学生時代には、なんの彩りもありはしない。
人の気も知らずに元気よく、時計の針がハイタッチしたところで、俺は二十一歳になった
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