「Kenちゃんはコメディが好き。」

沼津平成

はしがき——夏のはじめのある話

(えっ)とおもった。

「ぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ」

 別に作本健さくもとけんは溺れているわけではなかった、のだが。

「ぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ」

 先ほどからうるさいこの「ぼ」の声の主は、作本健である。

「ど〜う、したのっ、うるさいなぁっ」

「ぼぼ」

 ついさっきまで鏡にうつっていた青年が階段から降りてきて、作本健を見て、足を踏み外しかけた。

「『ぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ』」


(この沼津の街に……)


((俺以外のパリピが))


「いるなんてっ!」


 急足で二人は帰った。

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