THE・Time leap 〜時空より愛を込めて 

迷M _りみ

プロローグ

 時は1976昭和51年4月10。 

東京にある四次中学校よじちゅうがっこうにて。

 中学生になって間もない13歳のおれ——田中達也たなかたつやは教室で、幼馴染の桜田秋子さくらた゛あきこと話していた。

「『タイムリープ現象』?んなのあるわけ・・・」

「いや、あるの!達也は信じられないの?」

 おれは、このSFとホラーが好きな秋子がいつも言ってるユーレイとかタイムリープなんていうのは、1ミリも信じていなかった。

 そんなの、漫画やアニメでしか見たことが無かったからだ。

「でもさあ、たまに近未来とか行ってみたくならない?」

「うーん…。おれは思わねえな」

「えー、思わないの!?ちょっとは現象のこと、信じてみたら?」

「さあ、どうだろ?」

 クラスメイトのやつらは、みーんな幽霊とかタイムリープとかを信じてるんだ。

 ・・・あるわけないのに。


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 部活も終わり、おれは自転車で帰ろうとしていた。

「じゃあねー、達也!」

 秋子が手を振ってきた。

 秋子の方が家が近いから、自転車通学じゃないんだ。

 おれは、本当はこんなところにいたくなかった。

 クラスメイトの笑い声も、家族の話し声も、全てが鬱陶うっとうしくて仕方がなかった。

 ——本当は、嫌だったんだ。

 そんなことを考えているうちに、いつもの急な坂道にやってきた。頭の中がぼうっとして、自転車のブレーキをかけるのを忘れた。

 その時、おれの視界には1台のトラックが見えた。


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 目が覚めたのはバスの中。周りを見渡しても、いつもの景色が広がっている。ほっとしたのもつかの間、おれは何かが違うことに気がついた。窓の外に広がる風景。70年代の映画で見たかのような、どこか懐かしい東京。ザワザワした気持ちのままバスを降りると、立ち込める空気が変わった。

 1976年にいるはずのおれが、なぜか5の世界に迷い込んでしまったらしい。

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