サラリーマンが異世界に行きます
ゴブスラ
第1話 教師
私はこの異世界に召喚された時のことを思い出していた。
「どうかしましたか?」
私の様子が気になるようで、助手は伺ってくる。
「いや、なんでもない」
「そうですか。悩みがあるのなら聞きますよ」
「その時はよろしくお願いします」
私にはたくさんの仲間が増えた。
「これからもこの異世界で頑張っていこう」
私は、
「席に着いて、今日も授業だよ」
「え〜、またー……」
「今日は飛鳥時代についてやるよ!」
これがいつもの日常会話。そして、生徒との出会いの始まり。
私は黒板に「大化の改新」と書いた。
「大化の改新わかる人いる?」
「……」
誰も手を挙げない。
「……たいかのかいしんって何、越田?」
「先生、ね。私はいいけど、他の先生には言ったらいけないよ」
「わかりました。越田」
「だから先生、ね」
このクラスの不良ではないが、やんちゃ者・
「そんなことやってないで、先生、早く授業を進めて!」
このクラスの委員長・
「豚林!!お前なあ!!」
休み時間、立田とよく喋っているところを見かける男子生徒・
「おい!!山花、席に座れ!!」
教卓を叩き、その場に轟く音を出して、怒鳴った。
「……」
その場は、沈黙とかした。私があまり怒らないことを知っている生徒たちは驚いている表情だけを見せる。山花も同じだ。
山花は、すんなりと応じて座ってくれた。
「では、再開する。大化の改新わかる人いる?」
誰も答えることがなく、そのまま授業を進めた。
職員室に戻ってきた私は、デスクパソコンで作業をすることにした。
「おやおや、疲れているね。はい、これ!」
ベテランの先輩がコーヒー缶を渡して、自分の席に戻っていった。
「すみません。先生?頼みたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
先輩からの頼みごとだから断れない。
「なんでしょうか?」
この先生にはお子さんがいる。お子さんが熱を出して、幼稚園、保育園にお子さんを迎えに行くのだと思っていた。だけど、違うのかもしれない。
「……」
無言を貫く。何かしらの理由はありそうだ。
「いったい、何をしたらいいですか?」
「代わりに、私のクラスの終礼に行ってほしい」
「分かりました」
このクラスの担任の先生から伝えられたことだけを伝え、私はクラスを出た。
今日は、少しだけ残業して帰ろう。と決心して、職員室に戻っていった。
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