線香花火

夏の匂い、優しい音、夜の薄暗い中の灯火。


「知ってる?線香花火の火種を最後まで落とさずに居られたら願いが叶うの。」


手元を見つめるキミをボクは見つめていたんだよ

気づかれないように、何も悟られないように


この時間が長く続けばいい


キミの願い事、たくさん想えるように

キミの願い事、線香花火が叶えてくれるように


ボクの願い事

「キミの線香花火の火が落ちませんように」


そんな殊勝な…なんて心の中で苦笑しながら

キミを見つめているうち


ボクの線香花火が火種を落とさずに消えた

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