第37話 風呂上りのフルーツ牛乳

温泉に浸かって充分温まったので、そろそろ出る事にする。


「そろそろでようかな」

「そうだね~十分暖まったしね~」

「え~もうでるの?わたしは温海ちゃんともっと入っていたいかな~」


というけど、温海は空さんにだっこされている。

空さんに抱きつかれた後、むっつり顔になった温海は空さんの思うままになり

抱っこされながら温泉に浸かっている。


「それでは、わたしたちは先に出ます」

「え~文乃ちゃんも出るなら、わたしも出るよ。お腹も空いて来たしね~」


空さんはそう言うと、温海を抱っこするのをやめて一緒に温泉をでるけど

温海はなんか残念そうな顔をしていた。


「温海、残念そうに見えるけど気のせいかな?」


わたしはからかいながら言うと


「そ、空さんには……今回お世話になったから、そのお礼をし、しただけよ」


と答えたけど、そう言う事にしておこう。


「わかった、そう言う事にするよ」

「そ、そう言う事よ」

「温海ちゃん~文乃ちゃん~先に出るよ~」


わたしと温海が話てたら、空さんと夕は先に出ていくので、わたしたちも出ることした。


「ふう……夏だけど、山の中だから涼しいね」

「そうね。だから、温泉が気持ちよかったわ」

「あと、お腹も空いたけど、どこでご飯を食べるんですか?」

「ご飯ならここでで食べられるよ~」


こんな山の中で食べれる場所はあるのかなって思ったけど、そうか日帰り施設だからここで食べられるのか。


「もちろん、わたしのおごりだからね~」


空さんは服を着ながらこういうけど、その前にやる事がある。

そう、温泉からでたらフルーツ牛乳をのまないとならない。

ホテルにはフルーツ牛乳がなかったのもあるけど、はしゃいでたのもあってすっかり忘れてたよ。


「その前に、フルーツ牛乳を飲まないと」

「そういえば、わたしも喉が渇いたわね」

「いやいや、温海さん、そうじゃないですよ。お風呂上りですよ?」

「だから飲むんでしょ?」

「まぁ……そうなんだけど……」


温海の行ってる事が正しすぎてこれ以上何も言えない。


「要は、お風呂上がりだからフルーツ牛乳なんでしょ~」


空さんが笑いながらいうけど、温海は?を頭の上に浮かべている。


「温海ちゃんはわかってないけど、漫画やアニメのお約束ってちょっと古いかな?」


というと、温海も理解できたそうだ。


「そういうことね」

「そういうことだよ」

「でも、どこで買うの?」

「自販機か売店かな」

「休憩所と売店にあったけど、食堂に行く途中の休憩所に自販機があったはずだよ~」

「それではそうしましょう」


食堂へ行く途中の休憩所に牛乳の自販機があるので、そこで買う事にしてみんなも着替えて移動する。

そして、休憩所へ行くと各種ドリンクの自販機にちゃんとローカル牛乳があった。


「うん、ちゃんとフルーツ牛乳もあるね」

「そうね。でも、わたしは普通の牛乳にするわ」

「温海さん、牛乳で胸は大きくならないみたいですよ」

「あ゛?」


温海が普段出さない低い声をだすが、締まった流石にこれはまずかった。

いくら仲が良いと言っても、今のは言いすぎたか。

なので、わたしは自分でも驚くぐらいの速さで、休憩所の畳の上に土下座をする。


「ごめん、温海いいすぎたよ」


わたしは謝るが今度は


「ちょ、な、何してるのよ文乃!?」

「いや、怒ったと思ってちょっと土下座を」

「ちょ、ちょっとで土下座じゃないわよ、いいからやめてよ」

「でも......」

「でもじゃないわよ、みんな見てるわよ!」


温海がそう言うので、周りを見ると他のお客さんがこちらをみてる。

確かにこれは恥ずかしいから、わたしは土下座をやめて空さんが

「ちょっとふざけてただけです~」というと、他のお客さんもこちらをみるのをやめた。


「もう、なにしてるのよ!」

「いやぁ、温海が怒ったのかなぁって思って」

「そんな訳ないでしょ、今更」

「でも、温海のあ゛?って声を聞いたらね……」

「ごめん、ちょっと喉のちょしがおかしいだけよ。エアコンで冷えたみたいで」

「なるほど。なら良かった」


確かに、今更になって温海が怒る訳はないか。

でも、あの温海の低い声はドスがきいていて、ちょっとこわかったけど。


「そんなことより、はやくフルーツ牛乳を飲みなさい」

「そうだね」


わたしは自販機でフルーツ牛乳を買ったけど、ここは立って一気飲みする場面じゃないよね。

フルーツ牛乳は風呂上りに立って一気飲みするイメージだけど、ここじゃできないな。

だから、大人しく座ってふたを開けて飲んだけど、それでもフルーツ牛乳は美味しかったか。


「昼間のオレンジ牛乳もそうだけど、地域限定のぎゅにゅうってなんか美味しいよね」

「そうだよね~味が違うよね~」

「きっと地元の物を使ってるから、鮮度が違うのよ」

「それはありそうだねって、夕も牛乳なんだ」


夕も牛乳を飲んでるけど、そう言えば夕の所に泊まったらよく牛乳を飲んでいた。

となると、牛乳を飲むとやっぱり胸が大きくなるのだろうか。

いや、関係ない説もあるけど、ここにある2人のサンプルからすると

関係あるのかもしれないし、個人での違いかもしれないが……うーん、わからない。


 もっとも、統計的にはサンプルが少なすぎるらしいけど。

まぁ、ネットの受け売りではあるけど、いったいどうなんだろうね。

わたしが考えてもわからないし、お腹も空いたからわたしはフルーツ牛乳飲み干すと

みんなで食堂へと向かったのだった。

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