第5話 人間爆弾と素敵な野菜
魔石爆弾。魔石とは、魔力を貯めて好きな時に放出する事で様々な効果が発揮されるものだ。電池に似ているかもしれない。今回オレが作った魔石爆弾は、魔石に複数の魔力を限界まで貯めることで強い衝撃が加わると爆発するように加工したものである。その魔石爆弾を蘇生する前に身体に仕込んでおくことで、灰になった時に地面に落ちた衝撃で爆発するという仕組みだ。
まあ今回はカルキノス家に爆弾を送り込むために蘇生したジャスミンの身体を使ったが、誘拐して腹を割いて中に魔石爆弾を入れるのもアリだな。そうなると、いつでも好きな時に爆発出来るように改良したいところだが。
オレはスラム街の中でも高い建物の屋上から王都を見ていた。本命はカルキノス家だが、花火は一つでは寂しい。カルキノス家の爆発を皮切りに、王都のあちこちから爆発が起きる。カルキノス家で爆発が起きたら、大通りやマーケットで陽の下に出るよう命令を下した他の蘇生体達の仕業である。
「良い眺めだなぁ。そうは思わんか?」
「……はい」
大分身体が慣れてきたのだろう、アダムが短く言葉を発する。もう少しすれば、簡単な会話くらいなら出来るようになるだろう。それまでに灰にならなければの話だが。
「これから忙しくなるなぁ。ちょっと派手にやりすぎたかも知れんが、勇者が目覚めた様子もないし大丈夫だろ。あー、何人か勇者死んでねぇかなぁ」
魔力を探るが、残念ながら勇者はユーリウスしか殺せなかったようだ。ユーリウスはあまり他の勇者と交流しないタイプだったし仕方無いか。大通りやマーケットも一般人しか居なかった様子だ。乙女と勇者の魔力は探知ですぐわかるくらい分かりやすい。有難いことに。だから派手にやっても魔力を探れば殺せたか駄目だったか分かるのである。
「ボス」
「んー?なぁに、イヴちゃん」
「次は」
「何をするかって?誰を殺すかあみだくじでもしようかなぁ。あ、ウソウソ冗談。暫くは準備期間だ。肉ばっか食ってちゃ身体に悪いし、野菜の調達にでも行くか」
そう言って向かうのは、地下街。スラムの中でも質が悪い部類の人間が集まる場所だ。その中の一角にオレの拠点の一つがある。扉を開けば、植物が部屋の中を埋め尽くしていた。
「どうだ。調子は」
「ボス!はい、見て下さい!前よりも葉の質が良くなったんですよ!」
植物の一つを確認する。確かに色艶が良くなっている気がした。
「使ってみたか?」
「へい。借金踏み倒しやがった女で実験中でさぁ」
「どんな感じだ」
「良い感じに気持ちよさそうでさぁ。ヨダレ垂らしてヨガってやすよ」
案内されるがままに奥へと進むと、あられもない格好をした女がヘラヘラと笑いながら糞尿を垂れ流している。顔は上気しており、唾液が胸元を濡らしていた。女は腰をクネらせ、時折身体を跳ねさせている。
「どんぐらい吸わせた?」
「0.25mgでさぁ」
「いいね」
女の髪を掴み、上を向かせるが女は痛そうな素振りを一切見せない。オレがいる事にも気付いてない気がする。そのまま女の頭を掴んで持ち上げると、部下の顔の前に女の顔を突き付けた。
「へ?なんすかボス」
「お前、コイツとキスしろ」
「へぇっ!?」
あたふたとする部下に「早くしろ」と急かす。部下と女の鼻が触れ合い、あと少しで唇が重なる位置だった。
「粘膜摂取による効果の確認だ」
「いや、あっしじゃあなくても…」
「お前以外である理由もねぇだろ。ほら」
部下は恐る恐る女の唇に口をつける。最初はほんの触れる程度の口付けだったが、少しずつ深いものへと変化し、既にオレは女の頭から手を離しているのに部下は女の唇を貪っていた。下半身は服を脱いでいなくても分かるほどに勃起し、垂れた唾液まで舐め取り始める。
「予想以上の効果だな」
オレは椅子に座り、部下と女の様子をただ眺めた。
早くバラ撒きたいなぁと、用の済んだ部下と女の頭を魔法で撃ち抜いた。
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