ギリモフセラピー【ASMR】 ~可憐な生徒会長はヒミツのXXX~
黒猫夜
【4月】ワガハイは猫である
【4月】ワガハイは猫である 第1話
「私を撫でて、逝かせてくれる?」
桜の花びらと西日で桃色に色づく生徒会室。生徒会長
「ふぅ……ん……耳の後ろ……好き……」
タマキの頭上には猫の耳が生えていた。そのふわふわの耳の後ろを掻いてやると、タマキはあなたの胸に額をこすりつけるようにして甘い声を出す。タマキの手があなたのブレザーシャツを握りしめてしわを作る。
「……にゃ……ふ……」
タマキはあなたに背を見せるとソファ脇のローテーブルに両手をついた。あなたの前で短い尻尾がピンと立って何かを期待するように揺れる。あなたはその丸いお尻に手を伸ばし……。
◆
(始業の予鈴チャイムの音)
(走ってくる足音)
高校の入学式の日、あなたは校門をくぐる。
(ざぁっ)
突風が吹き、校庭の桜を舞い上げる。
舞い散る桜吹雪に目を閉じるあなた。
目を開けると、そこには、桜の根元にしゃがみ込み、祈るように手を合わせる美しい少女がいた。
はらはらと桜の花びらが舞う。傍らには
絵から切り出してきたようなその姿にあなたは息を飲む。
「……おはよう。新入生の方?」
少女はあなたに近づくと優雅に一礼した。
「私は、
名乗るあなた。
「……うん。よろしくね」
「あ、失礼……」
タマキはあなたに密着しそうなぐらいに近づくと、髪に手を伸ばした。吐息が耳にかかる。
「花びら……名残惜しいみたい……」
タマキはあなたの髪についた桜の花びらを大切な物のようにつまみ上げると慈しみに満ちた目で風に遊ばせた。花びらはひらひらと地面に落ちていく途中、再び強く吹いた風にまた舞い上げられていった。その行き先をあなたとタマキは二人、しばらく目で追った。
タマキは何かに気付いたように目をしばたかせる。
「……この子、あなたのネコかしら?」
タマキは写真を一枚取り出した。あなたが世話していた地域猫の「ワガハイ」が気持ちよさそうに寝そべっていた。欠けた耳、つぶれた尻尾、間違いないだろう。首肯する。
「ああ、やっぱり。あなたが世話してくれていたのね……」
タマキは少し困ったような表情をすると、先ほど彼女が手を合わせていた墓標を指し示す。
「朝、冷たくなっていたのを見つけたの……ここなら街もよく見渡せるから……」
タマキは目を伏せる。あなたは、これがワガハイの墓標だと理解した。最近姿を見せないと思っていたが……。
再びしゃがんで手を合わせたタマキと一緒にワガハイの冥福を祈った。
どれだけ祈っていただろうか。始業のチャイムが鳴る。
急ぎ挨拶をして去ろうとするあなたをタマキが呼び止めて、耳元で言った。
「あなた、放課後、生徒会室に来てくれる?」
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