レベルダウン・強くなりたいだけなのに、死んで異世界に行ったら、既に最強だった

@hapihapikaroshi

プロローグ 第1話 「ケーデンス」

魔王の城の扉が爆音とともに吹き飛ばれた。入っていたのは猫耳のフード付きマントをまとった男だった。


「ぶわっははは!!ついに、俺の前に立ちはだかる敵が姿を現したか!!」

魔王は巨大で、燃えるように赤い目をぎらつかせていた。

「俺に勝てると思うか?幾多の者どもが挑んできたが、皆ーー」


魔王が言葉を発した瞬間、侵略者は呪文を呟いた。突然、魔王の体が爆発し、頭だけが残された。


「しまった!」

その侵略者ーーいや、ヒーローは、床に膝をつき、苛立ちに満ちた拳で石畳を叩きつけた。彼が一撃を加えるたびに、城は揺れ、亀裂が走った。

「こんな……こんな……全然満足できなかった!!!」


***


俺は「引きこもり」と呼ばれている。それよりも、「神ゲーマー」という言葉のほうが合っていると思う。


生まれた時から意味は「ゲーム」が意味だったのに、一度もゲームをクリアしたことがない。小さい頃、子供向けゲームは簡単すぎて、やる気が起きなかった。人生では試練がなければ、楽しくて意味がない。だから、二歳から始めて、世界で一番難しいゲームを制覇することに決めた。


十四年経っても、まだダ〇クソウルをクリアしていない。


時間がなかった。学校が邪魔をした。家族が邪魔をした。それで、少し「引きこもり」になったーーいや、「神ゲーマー」になった。


部屋にこもり、水や食事のためでも、何の理由でも、ゲームをクリアするまで外に出なかった。


奇跡的に、七日間生き延びた。分身の痛みや夢を感じた。ついに、最後の日に最初のボスについた。


剣を構えて死んだ。本当の体は死んでしまった。


食事が大切かなー。


その後、この異世界で目が覚めた。


***


「うそだろ!!アニメ世界に転生された!!」

と初めて思った。


立ち上がって本当のファンタジー世界を見ると、大きなな豚が広々の平野にうろついており、空中にはドラゴンが飛んでいた。遠くには丸い街がみえる。


最近、「死んだら、流石に天国より異世界に転生かも」とかんがえる人は普通だろう。だから、びっくりしない。


近くの池に映った自分の姿を確認した。赤髪で、猫耳のフード付きオレンジ色のマントを着ている。それ以外は普通の姿だ。でも筋肉がもっとあればよかったなー。


前の人生で不可能な勝利を夢見ていた。だから、ダ〇クソウルをしたり、ガチャを引いたり、女に告白したりしていた。全部、失敗した。


しかし、全てが架空のボスと架空のキャラクターだった。これは、リアルだ!人工のゲームの難易度より現実の世界はるかにに越したことはないーーと思った。


強すぎる魔法を感じず、ぶっ壊れた武器がない。このファンタジー世界を受け入れようと思う。


自分の弱さを確認するために、近くのゴブリンみたいなでかい豚に駆け寄る。


「おい、豚!そっと蹴るからね。ごめん。」


初心者のようなキックを放った。


「ブーブーーーーーーーーーー!!!」


豚はロケットのように空に放り出され、消えた。


胸が締め付けられる。もし、まだこんなレベルにーーいや、こんな世界では、普通だろう。多分、皆もーー。


豚は見えないほど遠くなっても、まだきっと飛んでいる。その瞬間、蹴った場所の真上の月が真っ二つに割れるからだ。


かすかに悲しい「ブーブー」という音が聞こえる。


顔が色を失い、俺は倒れた。


「まじで、これは全然ファンタジー世界じゃない!死んで地獄に入った!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る