妄想

 放課後も謎に綾崎さんから一緒に帰ろうと何度もRINEが来たが、それを無視して、一人で帰ることにした

 綾崎さんからはどうしてと聞かれたが、朝と同じように勘違いされそうだからとだけ答えた

 見えていないが、ぷっくら頬を膨らませて不満を露わにする姿が容易に想像できた

 夜、あれこれ自分なりに考えてみた

 綾崎さんの俺への態度的に俺のことが好きなのでは

 一緒に登校しようと言ってきたのは俺と話したいからで、RINEで桜とのことを聞いてきたのは綾崎さんが桜に嫉妬していたからなのでは…

 いやまさかそんなわけない…ないよな

 だって、綾崎さんはクラス一可愛くて、明るくて、クラスの中心で、いつも誰かに囲まれている人だ

 それに比べて俺は一日中ほとんど誰かと話すことなく過ごすような根暗陰キャだ

 そんな俺のことを綾崎さんが好きだなんて、

そんな非現実的なことあるはずがないし、考えるだけ無駄だ

 そんなことは分かっているが、つい期待して、妄想してしまう自分がいた

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