暗殺者は死にたい

片栗粉

 プロローグ

 赤信号。夜道。目の前には迫り来るトラック。

現在時刻午前零時。私 月夜蛍、享年18歳。

「おい、あんた、死にてぇの・・・か」

少女の目の前には、鼻先スレスレで止まるトラックが一台あった。トラックの運転手は鳴り止まない動悸を怒りに変え、窓から怒声を飛ばした。しかし、当の少女はその美しい容姿によく似合った黒髪をなびかせ、飄々としている。

「死にたいのかもね」

一言、それだけを残し少女は去った。

まるで夏の暑さが見せる幻のようであると、運転手は考えたという。

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