アニマルイトコ!!

石川 明日香

第一話 耳が生えちゃうイトコ達!?

この小説は姉の石川 円花と書いています。

作石川 明日香/石川 円花


――――――――――――――――――――――――――

 私、山田猫音やまだねね!今日から小学六年生だよ。

 今……下校時刻。学校の帰り道で、とっても大変なことになっています…。


「この学校に動物の耳が生える人がいる、と言う情報を聞いたのですが、あなたは知っていますか?」

 

 私に、記者がずいっとマイクを差し出す。

 早く下校したいのに……。


「あ――、それって噂だけだと思っていました」

「へぇ、その噂はどこで知ったんですか?」

「と、友達から…」

「いつぐらいに聞いたんですか?」


 ああ、もうっ!早く終わって~!

 私が焦っているのは理由がある。

 記者の人が言っている『動物の耳が生える人』は、私のことなんだ!私は猫耳が生えちゃうの………!

 不定期に一日数回、ピョコンと音をたて、耳が出現するんだ。


 「一年前、くらいです」

 「姉ちゃん、どうしたんだ~?」

 「「猫音ちゃん、取材受けてるの?」」


 ああ――――、今、来ないでほしい人が三人ちょうど来ちゃった。

 私の弟で運動神経が良い、小学四年生の山田犬斗やまだけんと

 犬斗と仲が良い元気いっぱい、小学三年生で私のイトコにあたる森川もりかわくのんちゃん。通称くーちゃん。

 くーちゃんの双子の妹で、歌と絵が上手な森川まのんちゃん。通称まーちゃん。

 ……三人とも私と同じように動物の耳が生えてしまうんだ。

 

「ちなみに、犬耳と猫耳、熊耳に狐耳が生える方がいらっしゃるそうですが、ご存じでしたか?」

「いいえ」


 心臓に悪い言葉が、私の耳に入る。

 猫耳は私。犬耳は犬斗。熊耳はくーちゃんまーちゃん姉妹。

 私達が動物の耳が生えちゃうことを知っているかのような質問。やめてほしい………。

 くーちゃんが、記者さんに言う。

 

「それ知ってる!」


 ああ~~~~!私は心の中で悲鳴を上げる。くーちゃん、言ったらもっと取材されちゃう。

 しかも私達の耳が生えるタイミングは分からない。くーちゃん純粋すぎるっ。


「えっ、それはどこで?」

「どこでも何も~」

「うっうわさが広がっていますので!」


 セ、セーフ。私は間一髪で会話に割り込めた……良かった…。


「具体的には学校や習い事、どこで噂が広がっているのですか?」

「学校!だよな、くのん!」

「う~ん、そうだっけ?」


 おっ、犬斗もフォローありがとう!

 私はホッとため息をつく。

 それにしても質問攻めは一向に終わらない。そろそろ家に帰りたい。……そう思った時。


「皆さん、もうすぐ親戚で集まる時間ですよ?」

「「「「こ、コン兄!」」」」


 話しかけてきたのは、座敷狐平ざしきこうへい。中学一年生で、とても賢く、イトコのお兄ちゃん的存在。コン兄と呼ばれている。

 狐の耳が生えちゃう、私のイトコ。

 コン兄はゆっくりと私達に近づいてきて、記者さんに一言二言話した。

 すると記者さんは「ありがとうございました」とお辞儀をする。

 どうやらコン兄が話をつけてくれたみたい。

 

「じゃあ皆さん、行きましょうか。叔母さん達を待たせてしまいます」


 ありがとう、コン兄!

 私達は笑顔でコン兄について行った。



 ̄/¬_ ̄/¬_



「今日は…コン兄の家で集まる日?」

「ええ、そうです」


 コン兄がまーちゃんを見て、ニッコリ微笑む。

 すると、もうコン兄の家に着いていた。

 コン兄がカギを開けてくれたので、私は玄関に足を踏み入れる。


「お邪魔します」

「お~皆、遅かったな。上がって、上がって」

「「こんにちは」」


 コン兄のお父さん、いわゆる叔父さんがスリッパを差し出す。

 くーちゃんまーちゃんがそろって挨拶。フフッ可愛いっ。アイドルみたい。

 すると、私のお母さんもくーちゃんまーちゃんのお母さんも階段から駆け下りて来た。その瞬間。


――ピョコンッ


 私の頭から音が鳴って、白色の猫耳が生えて来た。今で良かった……さっき取材中になっていたら大変だったよ…。


――ピョコンッピョコンッピョコンッピョコンッ


 四回続けて音が鳴る。一人一回鳴ると、耳が生えてくるから……やっぱり。

 四人とも耳が同時に生えちゃったみたい。

 私達は腹を抱えて、笑いだす。……でも、まーちゃんは何故か苦笑いを浮かべていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る