第72話 駒門祭は燃え上がる


 九月も半ばの日曜日、昨日から開催された私立駒門高校の文化祭通称駒門祭は二日目に入り、生徒の関係者の入場もあり大変な賑わいを見せていた。


 俺達2Aの模擬店、『美と健康の為のたこ焼き屋』と書かれたのぼりの横の出店には大変な数の生徒とその関係者が並んでした。


 理由は簡単、校内でも美少女で名高い有栖川さん、夏目さん、杉崎さん、古城さん、勅使河原さんそして石通さんが七班に分散されて売り子をしているからだ。

 そして本日は午後二時には終了しますという断り書きもインパクトがあるのだろう。


 昨日時点で二日分を売り上げてしまった為、急遽本日分をスーパーの息子の生徒に頼んで具材を分けて貰った。勿論スーパーの店主は大喜びだったけど。



「早瀬君、2Aは凄いですね。今年は売上No1を行きそうです」

 俺に声を掛けて来たのは生徒会長の小手川さん。彼女は俺達のクラスのミス駒門参加メンバを聞いて本人も出場する事にしたそうだ。頭が痛い。


ラストの班の智が

「お客様、後十人分で材料切れで販売終了となります。十一人目から並んでいる方は申し訳ありませんが諦めて下さい」


-えーっ、何とかならないの?

-そんなぁ。

-このクラスのたこ焼き食べると綺麗になるって聞いたのに。

 誰だそんな事吹聴したのは?


 十一人目以降の人が二十人はいそうだけどトボトボと別の模擬店に行き始めた。智が

「京、売れ過ぎだ。昨日の分を合わせると三百人分、一人分六個入りだから千八百個売ったことになる」

「凄いな。良く焼きが間に合ったな?」

「みんなの努力の賜物だよ」

「そうだな。俺はそろそろ会場の方に行くから」

「俺も片付けたらすぐに行く」


 俺は周りの様子を見ながらミスコン会場に向かっている。何故かどこの模擬店も閉めが早い感じするのだけど?



 ミスコン会場の裏手にある待機場所では、純白のドレスを着た八人、有栖川さん、夏目さん、杉崎さん、古城さん、勅使河原さん、石通さん、小手川さんそして1Aの新垣沙理さんが椅子に座って時間が来るのを待っていた。


 俺は気付かれない様に何も無い事を確認すると四年ぶりのミスコンを一目見ようとする会場の方を見た。凄い人の数だ。


 台上では、ミスコン運営の関係者が忙しそうに動き回っている。台の後ろには大きなスクリーンがある。


 やがて午後三時になると会場に開始の合図を告げる音楽が鳴り響いた。そして司会者が

「ご来場の皆様、これから四年ぶりに開催する第五十回ミス駒門を選ぶミスコン祭を開催します。


「「「「「「「うぉーっ!」」」」」」」


 凄い声援と拍手が起こった。一体何百人見に来たんだ?観客席に不審な人が居ないか片端から見ていると、あれっ、お姉ちゃんが居る。来るって言ってたっけ?まあ、ここのOGで元生徒会長だから顔パスか。


「それでは皆様、開催します。今年は何と八名のエントリがあります」


「「「「「「「うぉーっ!」」」」」」」

 男性の声が凄い。


「エントリーNo1。2Aの有栖川奈央子さんです。有栖川さん台上に上がって下さい」


 奈央子さんが綺麗にお化粧して白いドレスを着て白いハイヒールを履いてドレスの裾を少し持って台上の中央に来た。後ろのバックスクリーンには奈央子さんの姿が大きく映し出されている。


「「「「「「「うぉーっ!」」」」」」」

「「「「「「「きゃーっ、有栖川さーん!」」」」」」」


凄い応援の声だ。彼女は本当に綺麗で可愛い。この声援も当然だろう。


奈央子さんがマイクを持つと

「ミス駒門にエントリーしました有栖川奈央子です」


 また凄い声援が上がった。そして司会者に案内されて八つある椅子の会場から見て一番左側の椅子に座った。


「それでは、エントリーNo2。2Aの夏目洋子さんです。台上に上がって下さい」


「「「「「「「うぉーっ!」」」」」」」

「「「「「「「きゃーっ、夏目さーん!」」」」」」」


 夏目さんは、背が高く腰まで有る髪の毛を白いドレスの上に流している。目がはっきりしていてスタイルも抜群の美人だ。


 夏目さんがマイクを持つと

「ミス駒門にエントリーしました夏目洋子です」


 また凄い声援が上がって司会者に案内されて奈央子さんの横に座った。二人でニコッと笑っている。


「次のエントリーNo3。2Aの杉崎涼子さんです。台上に上がって下さい」


「「「「「「「うぉーっ!」」」」」」」

「「「「「「「きゃーっ、杉崎さーん!」」」」」」」


 彼女にも凄い声援だ。目が大きく肩より少し長い髪の毛。白いドレスが良く似合っている。


 杉崎さんがマイクを持つと

「ミス駒門にエントリーしました杉崎涼子です」


 またまた凄い声援が上がって司会者に案内されて夏目さんの横に座った。三人でニコッと笑っている。


 この後も同じような声援の元に古城さん、勅使河原さんと続いた。そして六番目のエントリー、石通さんが呼ばれた。


「エントリーNo6。2Aの石通沙羅さんです。台上に上がって下さい」


-誰だっけ?

-でも背が高くてショートカットの子いいな。

-ああ、応援しようぜ。


 パチパチパチ。


 司会者が間をおかずに

「石通さんは、この九月に鹿児島ロサール高校から転校して来ました才女です。応援宜しくお願いします」


-聞いたか、ロサールだって。

-よし、応援だ。

-そうだ。


「「「「「「「石通さーん!」」」」」」」


 流石司会者慣れているな。


 杉崎さんがマイクを持つと

「ミス駒門にエントリーしました石通沙羅です」


 少し少なめだけど声援が上がって司会者に案内されて勅使河原さんの横に座った。六人で…睨み合っている。困った。


 そして七番目のエントリーが


「エントリーNo7。我が校の生徒会長で美人の誉れ高い小手川詩織さんです。台上に上がって下さい」


「「「「「「「うぉーっ!」」」」」」」

「「「「「「「きゃぁー。小手川さーん!」」」」」」」

「「「「「「「生徒会長!」」」」」」」


 流石詩織さんだ。今まで一番の声援だな。


 詩織さんがマイクを持つと

「ミス駒門にエントリーしました小手川詩織です」


 また凄い声援が上がった。司会者に案内されて石通さんの横に座る。今度は七人共ニコッとした。良かった。


「それでは本日最後のエントリーです。エントリーNo8。1Aの新垣沙理さんです」


「「「「「「「うぉーっ!」」」」」」」

「「「「「「「沙理ちゃーん。頑張ってー!」」」」」」」


-凄ぇ、あんな可愛い子一年に居たか。

-何っているんだよ。あの子は新垣梨音の妹だぞ。

-何、あの陸上の女王のか。

-応援するぞ。

-おう。


 新垣さんがマイクを持つと

「ミス駒門にエントリーしました新垣沙理です。応援宜しくお願いします」


 さっきより凄い声援が上がって司会者に案内されて八つ目の席に着いた。


 司会者が

「以上、今年は四年ぶりと言う事もあり実に八人の美女がエントリーをしてくれました。改めて拍手をお願いします」


 会場から割れんばかりの拍手が起こった。何百人いるんだ。凄い声援だ。


―――― 

えーっ、駒門祭ミスコン、次話に続きます。

次回をお楽しみに。

面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

カクヨムコン10向けに新作公開しました。現代ファンタジー部門です。

「僕の花が散る前に」

https://kakuyomu.jp/works/16818093089353060867

交通事故で亡くした妻への思いが具現化する物語です。最初の数話固いですけどその後がぐっと読み易くなります。

応援(☆☆☆)宜しくお願いします。

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