女の子救ったからって恋愛出来る訳じゃない
@kana_01
第1話 プロローグ
始まりました。新作です。ハードな所もありますが、結構お笑いも多い作品です。
楽しんで頂けると幸いです。
他の人達の会話の中に突然別の人の思いが入って来る時は§名前で誰が心の思いを出しているのは分かる様にしています。
長い時は私、名前です。
宜しくお願いします。
―――――
俺、
父親の勧めで小学校三年から父親の友人の親が開いている道場で空手と棒術を習っている。
お陰で中学時代、街で暴漢に襲われそうになった女の子を三回ぐらい助けたが、後から騒がれるのが嫌で警察には名前以外何も教えないでくれとお願いしている。
中学時代、好きな子はいたが、その子は別の男子を好きになって、片思いで終わった。勿論友達としての女の子は何人かいたけど。
だから高校一年になった今でも彼女いない歴=年齢という自慢にもならない経歴?を持っている。
中学一年からずっと一緒の俺の友人、
身長は俺と同じ位だが、中学時代はテニスをしていて、しっかりと彼女を作ったが一年で破局したというか相手の子に新しい彼氏が出来たという理由で振られた。随分落ち込んでいたけど今は元に戻っている。
二人共陰キャではないが、キャアキャアと群れて騒ぐ陽キャでもない。二人共群れるのが好きじゃない。
そんな俺と智が入学したのがここ私立駒門高校。都内でも有名な進学校だ。でも飛び切り難しいという訳ではない。
だから二人で、ここでそこそこの成績ならば推薦枠でそれなりの大学に行けるだろうという人には言えない安直な考えで一緒に入学した。本当は智とは関係ない俺自身の個人的な理由があるけど今は言わないでおく。
入学式の日に新入生総代をした
その後、中学三年の時俺が助けた、街で暴漢に襲われていた女の子の名前と同じだと思い出した。しかしどう見ても似ていない。
あの時は、守るためにいつも俺の背にしていたのとショートカットで涙で顔はくしゃくしゃだったので顔が一致しない。
身長なんて覚えているはずがない。だから気の所為だと思ってその時は過ごしたけど、やはり気になる。
入学してから二週間。俺は、まだ人の少ない教室で窓から外を眺めていた。
「おはよ、京」
「おはよ、智」
俺に声を掛けて来たのは田中智也。お互いに名前一文字で呼んでいる。
「京、また有栖川さんが来るのを見ているのか?」
「そうでもないけど」
「まあ、あの人は俺達にとっては高嶺の花。学内一、二を争う美少女だからな。縁のない人だよ」
「そうだな」
俺はさっき言った理由で高校三年間、平穏な高校生ライフ+ちょっぴり素敵な恋愛して過ごそうと思っていたが、有栖川さんが少しずつ気になって来ている。
だけど周りの生徒の声に聞耳立てていると皆彼女に対して実らぬ恋心を抱いている様だ。変な思い込みは頭の中からは忘れた方が自分の為だな。
「あっ、来たぞ」
智の声に校門の方に目をやると有栖川さんが校門を通って校内に入って来た。黒く輝く髪の毛が背中の中程まで有り、切れ長の大きな目、スッとした鼻。
可愛い唇にそれを際立出せる綺麗な輪郭。周りには友人か何か数人の女の子が一緒に居ていつも微笑みを絶やさないでいる。
彼女のクラスは残念ながら1Aだ。クラスは基本成績順で分けると言っていたから来年は頑張って同じクラスになりたいものだ。
気が付けばここ1Bの教室も大部分の生徒が登校していた。やがて予鈴がなって担任の
午前中の授業も終り、学食で智と一緒に定食を食べている。
「今日は六限目が健康診断だな。中三以来だから少しは伸びたかな?」
「二人共伸びているんじゃないか?」
そんな話をしていると有栖川さんが入って来た。普段は来ないのに?皆が一斉に注目している。彼女の横には、友人らしき人が何人かいる。人気者なんだな。
「京、彼女も健康診断するんだよな。胸部検査の時だけ医者と替わりたい」
「お前なぁ。そんな考えしていると女子に嫌われるぞ。それに今はシャツを着たままだろう」
「でも京だって興味あるだろう?」
「まあなぁ」
健全な男子高校生はそう考えるのが普通だよな。
その時だった。何故か有栖川さんが俺達の方を見て驚いた顔をしている。俺は、当然自分達じゃないと思って後ろ、周りを見たけど皆同じ反応だから分からない。
「なあ、智。有栖川さん、こっち見て驚いた顔していたよな」
「ああ、でも俺達には関係無いだろう」
「そうだよな」
私は、友達と一緒に学食に来ていた。いつもはお弁当を教室で食べるのだけど、ちょっとした事情で朝のお弁当を作る事が出来ず、今日は仕方なく学食に来た。購買でも良いと思ったけど、行った時は食べたいサンドイッチとかが無かったからだ。
だからチケットを購入してカウンタに並んで周りを見ている時だった。私は一瞬、視線が止まった。
もう会う事は出来ないと思っていた男の子がいる。まさか同じ高校に入学したなんて。
でもいきなり声を掛けるのも迷惑だろうし、周りの友達からも変に勘繰られても困る。だから一度ジッと彼を見ると視線を外した。
私の命の恩人と言っても過言で無い人、早瀬京之介。少し身長も伸びているけど顔がそうそう一年で替わる訳はない。
間違いなく彼だ。何処のクラスなんだろうか。あの時は、碌にお礼も言えなかったし、名前以外、連絡先も住所も知らない。警察に教えて貰おうと思ったけど教えてくれなかった。理由は分からない。
でも同じ高校なら必ず話すチャンスはある。だからこの時は何もしなかった。
この日以降、有栖川さんを学食で見る事も無く、毎朝、窓から遠くにいる彼女を見るのが日課だった。クラスが違うから普段会う事はまずない。
そしてGWも目の前の金曜日、体力測定の日。智と一緒に体育館の中で垂直飛びやら反復横跳び、上体起こしをやっていると
「京、いつもながら柔らかいな」
「こんなのは、道場で年中やっているからな」
「俺もやってれば良かったよ」
「今からでも間に合うぞ」
「止めとく。それよりあれ見ろ」
有栖川さんが反復横跳びをやっている。ジャージを着ているとはいえ、その横揺れに男子は見ない振りしてみんな見ていた。
髪の毛をポニーテールにした顔は一段と綺麗な顔の輪郭を際立たせ、つい見てしまう。
「おい京、あんまり見ていると…。あっ、こっち見て微笑んだ。誰に?」
「まあ、俺達には関係ない。それよりグランドに行こうぜ。五十メートル走と千五百が待っている」
「ああ、千五百止めてぇ。誰だ。こんなもの体力測定に入れたの」
「何言っているんだ。中学の時はテニスのレギュラーとして鳴らしたじゃないか」
「そんな昔の事、体は忘れているよ」
俺達が、五十メートルが終わって、千五百を走っていると有栖川さんとその友達がグラウンドに出て来た。
始めは分からなかったが、並んで走っていると智が
「おい、有栖川さんが居るぞ」
「ふーん」
「ほら右斜め前、コースの外だよ」
俺も見た。確かにいた。そして俺と視線が合ってそのまま彼女の前を通り過ぎようとした時、確かに微笑んだ。
「お、おい。有栖川さんが微笑んだぞ」
「ふーん。誰か知合いでも居るんじゃないか」
「そうかなぁ」
間違いないですね。見つけましたよ、早瀬京之介君。
――――
書き始めは皆様のご評価☆☆☆が投稿意欲のエネルギーになります。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
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