3.ビデオ会話
「暇人か」
「いいの! 収入はちゃんとちまちま手にしてるから」
「定職じゃないっしょ、で? そんなもの集めてどうすんの」
そこがどうしてもネックなのだと反抗しようにも考えていなかったというより。栄養補給感覚。
「不思議な体験、幽霊にまつわる体験、集めてみたはいいんだけど。何故か住んでる土地過ぎてブログネタにできなくなってしまって困って、方法を模索中」
何よりも裏付け出来ない情報を流せば土地を貶め兼ねないそれは望む結末ではない。無責任過ぎた自分の不甲斐なさを呪いたくもなる。
「考えなしの馬鹿ね。ホラー映画だと悪化させて死んでくタイプのクソか」
ビデオ会話中画面上の彼女は缶チューハイ片手に私をカテゴライズ、情けないが事実を突かれているとなんとも言えない気持ちになる。
「でもまぁ加担したからなあたしも」と彼女は天井を斜めに見ながら動きを止めて考え込むような仕草をしている。
実体験集めるのに際して体験者の募集をしてくれたのは親友である彼女だ。知り合いとかを片っ端からこんな話を集めている友人がいるのだ云々と。彼女は私と違い交友関係が広く底抜けに明るく人に溶け込むのが上手い。私は人付き合いが苦手で彼女以外の友達は残念ながら居ない。
「あっ、そうだ。ひとつ案があるかも」
缶チューハイを画面の外へやり彼女は、悪巧みの思い付いた顔でニタリと笑う。女性をこう表現するのもなんだが、イタズラを思いついた少年見たいだと思った。
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