【インタビュー記録】

 おれと当時の友だちが小学校の頃の話なんです、当時悪ふざけでしでかしたことによって取り返しがつかなくなった話なんです。

 市立■■小学校で話題になっていた幽霊団地に行こうって話になって、二人だけってのもなんだかなってこともあったんだと思う。当時よくからかっていた奴がいてとくにダイキはよく彼を気に食わなかったのかな、おれもなんとなくこいつなら反抗できないだろって思っちゃってしまってて。うん、今思えば酷いですよね。自分自身大人っぽくなっていた気がしたから中学生の仲間入りしたみたいなだからかな、本ばかり読んでて大人しくしてるのが鼻について。ダイキはたぶんなよなよしてるって思ったのか本を取り上げて肝試し参加しないなら返さないって有無言わせないやり方とったんだけど。

 




 夕方より少し暗くなり始めた頃にそいつを半ば無理やり連れだして幽霊団地って呼ばれてるそこに行ったんです。まぁ大半の部屋が鍵かかってるわけだから入れやしないんだけどね。1つだけ開く部屋があるって聞いたことあって、あっ、と言っても噂でしか聞いたこと無くて毎回違うらしいんです。で飽きてきた頃に本当に開く部屋があったんです、もちろんおれらは舞い上がってでもあいつは浮かない顔をしてた。しばらくしてなんもねぇじゃんってそしたら部屋の中にやたら枯れ葉が落ちてた。夏なのに秋でも冬でもないしなぁってそれに気づいた頃、いよいよあいつは顔青ざめてるし相変わらず玄関入ってすぐの所から動こうとしないしでなんか、出来心ですかね。ダイキと示し合わせて部屋に閉じ込めてやろうって。最初は泣き声とか叩く音がしてたから二人で笑いながら背中からもたれて体重かけて絶対開かないようにしてました。時間がどれくらいたった頃かはわかんないんすけど、泣き声も叩く音も全然しなくなって。様子伺って二人揃って互いにどうする?って感じに目配せだけしてた。ちょっとからかって終わりにするつもりだったのになんだか急にとんでもないことになったなって気が。今思えば最悪なことしてしまったよな気がします冗談にも限度ありますもんね?





 その時団地中からチャイムの音がすごい鳴り響いた、壊れてるのは最初に確認してたからいよいよヤバい。って思ったら彼が涙目で「ヤバい、帰ろ」ってものすごい勢いで階段駆け降りておれも連れられるように数段飛ばしで駆け降りて。あいつを部屋に放っておいたままです。揃いも揃ってあいつを置き去りに逃げるように帰りました。だって踊り場に大人の背丈くらいの黒い影みたいな人が立ってて笑ってたんで、顔が見えたわけじゃないけど確かに嗤ってたんです。あんなに離れてるなに耳の側で低い嗤い声が、したんです。おれらのことを見下ろすみたいに、こっちをずっと見てた。





 あいつがどうなったか、ですか? おれらも知らないんです。周りの大人が何も教えてくれなかった、というか聞こうとするだけでものすごい怒鳴られましたから。聞くことがタブーなんだって感じを誰もが感じてたと思いますよ。

 ダイキともこの一件が原因で疎遠になっていって一緒に話すことは無くなりました。みんなも彼とは距離が徐々に離れてくっていうか何て言ったらいいかな。まぁそんな感じですね。高校は互いに別のところ行ったんで彼もどうしたかは知らないけど、聞いた話だと輪にかけて問題行動を起こしたりそういう連中とつるんで、評判は良くないらしいって聞きましたね。

 中学生以降おれは真面目に勉強して高校も志望校に行ったんで。





 あいつどうなっちゃったんですかね?

おれは詳しく知らないです。両親にすげぇ怒られたし兄貴ともあまり上手くいかない感じになって気まずくて、高校の時実家から出たんで。あれ以来あの場所には戻って無いから知らないんです。もしあいつのことどうなったか知ったらおれにも教えてくれますか?






 謝りたいんです。あれから良くないことが続いてて兄貴も亡くなってその友人も何人か亡くなったらしいんです。おれが兄貴たちが肝試ししたらしいとか幽霊見たらしいって話したのが、良くなかったんですかね?

 彼女もおかしくなっちゃって、ヤバいのわかっているんですけどね。なんか良くないことがおれの周りに起きててどんどんおれの身近に迫って来てるようなんです。

 たぶんそろそろおれの番になる、そしたら死んじゃうでしょうね。そんな予感だけがしてあいつがもし生きてるなら謝りたいんです。許されないとしても。

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